研究課題/領域番号 |
25860099
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
高橋 哲史 北里大学, 薬学部, 助教 (40449004)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ヘリコバクター / MALTリンパ腫 / ハイルマニイ |
研究概要 |
本研究では、H. heilmannii感染惹起性の胃粘膜関連リンパ組織(mucosa-associated lymphoid tissue:MALT)リンパ腫の病態悪性化因子の同定、および治療法の探索を主たる目的とし、本年度はH. heilmannii長期感染C57BL/6マウスの血清および肝臓組織における遺伝子発現について、マイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析を行った。また、以前の検討により本菌感染胃粘膜で活性化の認められたCD86-CD28シグナルを阻害し、病態改善が期待されるCD152抗原の本病態に対する治療効果について検討した。 肝臓と感染局所である胃粘膜でのマイクロアレイのデータを比較した結果、悪性リンパ腫での遺伝子発現上昇が報告されているCD300aやTie1を含む123個の遺伝子について、感染マウスの肝臓特異的な遺伝子発現上昇が認められた。また、これらのうち、achaete-scute complex homolog 1(Ascl1)や2'-5' oligoadenylate synthetase-like 2 (Oasl2)を含む15の遺伝子については、血清mRNAにおいても2倍以上の遺伝子発現上昇が認められた。 一方、H. heilmannii感染マウスに対し、CD152-Ig抗原を8週間投与した結果、胃MALTリンパ腫病態形成に対する著名な抑制効果は認められなかった。現在、CD152にアミノ酸変異を誘導することによりCD86に対する親和性を高めた変異型CD152抗原(HNEQ-Ig)について、抗原作製および胃MALTリンパ腫形成阻害効果について検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マイクロアレイを用いた網羅的な遺伝子発現解析は、当初の計画道理に進んでいる。 一方、治療法の探索については、期待通りの活性が得られなかった。一方で、新たな薬剤の候補となり得る新規物質について、抗原精製など当初の計画には見込んでいない作業が必要となった。
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今後の研究の推進方策 |
肝臓や血清などで発現上昇の認められた遺伝子についてはH. heilmannii感染惹起性の胃MALTリンパ腫の病態悪性化因子として、診断マーカーの可能性が考えられる。今後、検体数を増やす事や、様々なタイムポイントでの遺伝子発現を検討する。 治療法の探索については、HNEQ-Igの抗原精製、および活性評価を進めて行く。本抗原は、CD86に対する高親和性因子として近年、見いだされた因子であり、新規薬剤としての開発が期待される因子である。
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