低分子化合物の構造を認識し得る一本鎖DNAであるDNAアプタマーを危険ドラッグのスクリーニングに応用することを目指し、包括指定の基本骨格を持つ合成カンナビノイドであるJWH-018に対するDNAアプタマーの作製を試みた。 JWH-018のアルキル側鎖にカルボキシル基を導入した(JCA)と磁気ビーズであるDynabeads M-270 Amineをカップリングさせ、JWH-018結合ビーズ(JMB)を作製した。結合量は、反応しなかったJCAをHPLCで測定することにより求め、磁気ビーズとJCAの至適混合比を求めた。以上の検討より、JCAの固定化量及び固定化の条件が決定された。 DNAアプタマーの選択はSELEX法により行った。JMBを用いたSELEX法により、JWH-018を認識するssDNAライブラリを得た。10サイクル目で回収したDNAのシークエンス解析を行った結果、典型的な核酸アプタマーの構造モチーフであるGカルテット構造を取りうる配列を持つことが明らかになった。本年度の研究により、難溶性の薬物に対するアプタマーの選択条件を明らかにすることが出来た。以上のことから、SELEX法は水溶性のみならず難溶性の乱用薬物に対するアプタマーのスクリーニング法としても有用であることが明らかになった。今後、他の乱用薬物に対するアプタマーの選択を行い、実用化(薬物捜査現場において利用可能なオンサイト薬物検出キットの開発等)に向けた検討を進めたい。
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