研究課題
若手研究(B)
本研究の目的は、血液中オキシトシン濃度と唾液中オキシトシン濃度を定型発達者において比較し、唾液中オキシトシン濃度の代替検査法としての有用性を検討することにあった。平成25年度は、定型発達者男女73人(35.4 +/- 12.4 歳)のほか、ASDをもつ当事者男女20人(27.2 +/- 8.9 歳)とその親族者男女18人(51.0 +/- 17.5 歳)から、本研究の目的を説明し、文書同意を得た。各被験者から唾液検体2cc、血漿検体5cc採取し、オキシトシン濃度測定用に冷凍保存をしたほか、自閉症スペクトラム指数(Autism-Spectrum Quotient、 AQ)と対人応答性尺度(Social Responsiveness Scale、 SRS)の心理検査を自己記入式で行っていただいた。なお、血液および唾液採取の順序は、被験者を二群に分けカウンターバランスをした。現在、血液検体からのオキシトシン濃度を測定終了した。定型発達者73人の平均オキシトシン濃度は730.8 +/- 405.8 pg/ml であった。一方、ASD当事者20人は、675.3 +/- 280.9 pg/ml、ASD親族者18人は、725.9 +/- 327.4 pg/ml であった。三群間に、統計学的に有意な差は認められなかった(P > 0.05)。また、各被験者の血液オキシトシン濃度と心理検査尺度(AQ、SRS)には、有意な相関は認められなかった(P > 0.05)。各群の年齢層と男女比にばらつきがあるため、さらなる被験者のリクルートの必要があると考えられた。
2: おおむね順調に進展している
定型発達群のみならず、ASD群、ASD親族群の検体採取が順調に行えている。何ら支障なく、血液検体からのオキシトシン濃度測定も行えている。
平成26年度は、各群の被験者をさらに追加し、年齢層、性別など統一した状態にて各群間のオキシトシン濃度を比較検討する。また、唾液検体によるオキシトシン濃度も同様に測定し、血液検体と比較検討し、代替検査法としての有用性を検討する。
平成25年度は、定型発達群だけでなく、ASD群、ASD親族群のリクルート、検体採取が順調に行えた一方で、濃度測定開始が遅れた。オキシトシン濃度測定用のELISA kit 購入を平成26年度に先送りした。平成26年度は、ELISA kit 購入にて、血液検体のほか唾液検体からも濃度測定を行い、定型発達群、ASD群、ASD親族群の群間比較、心理検査尺度(AQ、SRS)との相関を検討していく。
すべて 2014 2013
すべて 学会発表 (2件)