研究課題/領域番号 |
25860112
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大村 友博 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00439035)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 神経化学 / 小胞体ストレス / パーキンソン病 |
研究概要 |
老人性痴呆や運動障害などの神経疾患は、その症状が多様なため認知機能や運動機能を客観的に評価することは極めて難しい。マーカー分子の発現量測定から、機能障害の程度を評価できれば極めて有用である。そこで弧発性パーキンソン病モデル細胞を用いて、脳機能障害に関与すると考えられるユビキチンリガーゼHRD1やその関連分子を中心に機能解析を行った。 平成25年度は神経芽細胞腫SH-SY5Yに6-hydroxydopamine(6-OHDA)および1-methyl-4-phenylpyridinium(MPP+)を用いて脳機能障害モデル細胞を作出した。これらはそれぞれ小胞体ストレス応答分子であるCHOPを誘導し、細胞死を起こしていることから小胞体ストレスを起こしていることが確認されたが、HRD1および小胞体シャペロンのGRP78の発現量を検討したところ、MPP+では誘導されず、6-OHDAでのみ誘導されることが示唆された。以上のことから、6-OHDAとMPPでは小胞体ストレス応答シグナルに違いがあることが示唆された。 また、小胞体ストレスに対して保護的に働く薬物の探索を行った。その結果、オキシカム系NSAIDsであるメロキシカムが、小胞体ストレスに対して保護的に働く可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度に計画した実験内容についてはほぼ予定通り実施され成果が得られている。一部、HRD1発現ベクターを使用する実験について遅れているが、コンストラクト作製も終了し、鋭意進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、弧発性パーキンソン病モデル細胞におけるHRD1の発現量変化について検討すると共に、HRD1によって神経細胞保護効果が見られるか否か、さらにHRD1の周辺分子の変化についても検討する。 また、メロキシカムが小胞体ストレスを抑制する可能性があることから、孤発性パーキンソン病モデル細胞において起こる小胞体ストレス反応を抑制するか否か、さらに他のメロキシカム誘導体でも起こるか否かについても検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に行う実験の一部を平成25年度に行うことになり、その分が執行されなかったため。 平成26年度は弧発性パーキンソン病モデル細胞におけるHRD1の発現量変化について検討すると共に、HRD1によって神経細胞保護効果が見られるか否かについてと、そのときのHRD1の周辺分子の変化について検討する予定であり、それらに必要な抗体、リアルタイム試薬、血清などを購入する予定である。 またメロキシカムが小胞体ストレスを抑制する可能性があることから、他のオキシカム系NSAIDsについても検討する予定であり、これらの実験に必要な試薬を購入する予定である。 以上の研究成果を学術集会などで発表する予定であり、それに必要な旅費などにも研究費を使用する予定である。
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