研究実績の概要 |
Multidrug and toxin extrusion (MATE)は、2005年に単離されて以来H(+)/有機カチオントランスポーターとしての解毒機能を中心とした解析が行われてきた。しかし、内因性基質の膜輸送に絡むMATEの生理学的役割は未だ明らかにされていない。本研究は、腎MATEの新しい生理機能として、腎臓組織内で生合成されたドパミンによるNa(+)利尿制御因子としての役割解明を目指す。平成26年度はMATE阻害剤の影響について検討した。 1: ドパミン取り込みに対するイマチニブの効果 ヒト(h)MATE1, hMATE2-K,マウス(m)MATE1を介した[(3)H]ドパミン輸送はイマチニブにより濃度依存的に阻害され、それぞれのトランスポーターに対する50%阻害濃度(μM) (mean ± S.E.)は、1.1 ± 0.1、13.8 ± 4.4、100.6 ± 13.9だった。 2: 尿中ドパミン分泌に対するイマチニブの阻害効果 イマチニブを経口投与した野生型マウスでvolume expansion実験を行い、回収した尿のドパミン量を定量した結果、イマチニブ投与群はvehicle投与群と比べて尿中ドパミン量が少なかった。また、尿中Na(+)排泄量もイマチニブ投与群で減少していた。
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