研究課題
本研究では、「精神神経疾患治療薬の個別化投与設計法の開発」を目指した臨床研究を実施し、以下の成果を得た。【抗てんかん薬に関する検討】1)クロバザムとその活性代謝物であるN-CLBを同時に考慮した母集団薬物動態解析を行い、N-CLBの代謝に関わるCYP2C19の遺伝子型毎にクロバザムの至適投与量を設定できることを示した。2)カルバマゼピンの薬物動態-薬力学解析により、核内受容体HNF4αとPXRの遺伝子型が、臨床でのカルバマゼピンの維持投与量を決定する新規遺伝的予測因子となる可能性を示した。3)バルプロ酸の治療効果と副作用(肝障害)に関する母集団薬物動態-薬力学解析により、バルプロ酸の作用部位の一つであるSCNA1と抗酸化酵素SOD2の遺伝子型毎に最適な投与量を提案できることを示唆した。さらに、女性患者でのみ、バルプロ酸誘発性の体重増加にCYP2C19遺伝子型や知的障害の有無が関係することを示し、性別を考慮した副作用のリスク因子の探索が重要であることを提示した。【抗精神病薬に関する検討】1)メタ解析により、CYP1A2で代謝されるオランザピンとクロザピンが、CYP1A2を誘導する喫煙の有無で、それぞれ投与量を30~50%を増減する必要があることを示した。2)リスペリドン等の非定型抗精神病薬の服用患者では、抗酸化酵素GSTM1, GSTT1, GSTK1の遺伝子型が肥満や脂質異常症の予測因子となり得ることを示し、ハイリスクの患者では禁煙等の生活習慣指導が有効であることを示唆した。【抗うつ薬に関する検討】1)パロキセチンの薬物動態にCYP2D6の遺伝子型が影響することを示し、CYP2D6の低活性遺伝子型を保有する患者では、パロキセチンの血中濃度が低く、投与量の漸増を急峻に行う必要性を示唆した。
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