研究課題/領域番号 |
25860119
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
田原 耕平 岐阜薬科大学, 薬学部, 講師 (30454325)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | リポソーム / siRNA / 吸入製剤 |
研究概要 |
難治性の肺疾患にはsiRNA が有効であるが、肺への高効率・高持続性の送達方法がない。本研究では、肺局所治療を目指した吸入 siRNA 封入リポソーム製剤を設計することを目的とする。そのために、これまで不明な点が多かったリポソームの物性と吸入特性との関係および肺組織に対する安全性を網羅的に調べ、さらにリポソームの肺内動態をin vivoイメージングで解析し、安全性の高い優れた肺深部送達効率や肺内滞留性を示す siRNA吸入システムをデザインする。リポソームを用いてsiRNAを吸入製剤化し、肺局所において持続的な薬理効果を得るためには、siRNA をリポソームへ封入し、リポソーム表面を機能性ポリマーで修飾するだけでなく、噴霧デバイスによる吸入特性やリポソームの肺内動態を明らかにする必要がある。 平成25年度は、脂質組成や表面修飾剤が異なる表面修飾siRNA 封入リポソームを網羅的に調製し、吸入特性(噴霧効率や肺深部への到達効率)や肺内滞留性の観点からリポソームのスクリーニングを試みた。また、siRNA リポソーム溶液を噴霧デバイス(ネブライザー)で吸入する場合、エアロゾル化の液滴微細化過程で、siRNA が分解されることが懸念される。そこで、ネブライザー噴霧後のsiRNA安定性をアガロースゲル電気泳動により評価し、噴霧後も安定であることを確認した。また、三種類のネブライザー(メッシュ式、超音波式、ジェット式)を用い、siRNA リポソームに最も適したデバイスを決定した。siRNA 封入リポソームの肺内動態を、非侵襲的in vivo リアルタイムイメージングにより解析し、優れた吸入特性と肺内滞留性を有するリポソーム物性(脂質組成や表面特性)を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通りの結果が得られている。表面修飾siRNAリポソームを設計し、ネブライザー噴霧後の吸入特性を評価したところ、ジェット式ネブライザーが最適であることを明らかにした。また、in vivoイメージングの結果から、リポソームへの表面修飾剤として、部分疎水化ポリビニルアルコールやオリゴキトサンが肺内滞留性の向上に有効であることを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に得られたデータをもとに、吸入特性や肺内滞留性を高いレベルで満たす表面修飾リポソームを再度設計し、肺障害モデルラットを用いて実際の薬理効果やin vivoにおける安全性を評価する。
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