有効な薬物治療が存在しない難治性の肺疾患において、核酸医薬であるsiRNAの応用が期待されている。そこで本研究では、siRNAを肺の疾患部位に効率良く送達する吸入siRNAリポソーム製剤を設計することを試みる。昨年度までに、脂質組成や表面特性が異なるsiRNA封入リポソームを網羅的に調製し、優れた吸入特性と肺内滞留性を有するリポソーム物性を決定した。平成26年度は、前年度に得られたデータをもとに、吸入特性や肺内滞留性を高いレベルで満たす表面修飾リポソームを再度設計し、特にリポソーム内部にsiRNAを高効率に封入することを試みた。表面に吸着した高分子薬物と内部に存在する高分子薬物を明確に区別し、精密なナノサイズのリポソーム製剤を設計することを試みた。また、in vitro及びin vivoにおいて設計した表面修飾リポソームの安全性を評価した。
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