研究課題/領域番号 |
25860128
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
守屋 友加 名城大学, 薬学部, 助教 (00512295)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 自閉症 / SV2A / レベチラセタム |
研究実績の概要 |
自閉症スペクトラム障害(ASD)は、小児の代表的精神行動異常を示す疾患であるが、その原因については不明な点が多い。現時点において、そのメカニズムは、てんかんに似た症状を示す事が多く、中枢における興奮―抑制バランス異常によって引き起こされることが考えられている。最近、痙性脳性麻痺、中等度認知障害ならびに焦点てんかんの患者においてレベチラセタム投与により自閉様症状を誘発した症例が報告されており、本剤の投与中止によりその症状が消失している。このことから、レベチラセタムと自閉症との間には何らかの関係があると考えられる。レベチラセタムは、ピロリドン誘導体の新規抗てんかん薬であり、SV2Aへの高い親和性は既存の抗てんかん薬にはみられない特徴である。そこで、本研究では興奮―抑制バランスに関与するSynaptic Vesicle Protein 2A (SV2A)遺伝子上の変異と自閉症との関連について検討することを目的として進めている。本年度は、SV2Aの遺伝子変異5箇所について解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SV2A遺伝子の変異については、5箇所の遺伝子型について解析を進めている。解析対象としている遺伝子変異の発現頻度は、東アジア人における過去の報告とよく似た傾向を示すものの、発現頻度に差が認められることから、人種ならびに地域差による違いがあるのかもしれない。今後はこのことを考慮に入れつつ、更なる対象を追加し比較検討をする予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本年度に引き続きSV2A遺伝子変異の解析を進める。また、培養細胞を用いたグルタミン酸およびGABAの分泌に及ぼすSV2A遺伝子型の影響、ならびにバルプロ酸投与による自閉症スペクトラム障害モデルマウスの作出とレベチラセタム投与による評価についても検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在、SV2A遺伝子型については候補が決定し、解析を進めている。細胞培養ならびに動物実験については準備中のため、使用額と差が生じているが、概ね準備が整い、順調に研究を進めている。次年度に引き続き使用計画に基づき実施する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、引き続き解析に必要な試薬等の購入にあてる。また、研究代表者の異動に伴い、機器等を一部購入する必要性が出てきたため、その費用に充てる。また、本研究成果を国内の学会において発表するための出張費として充てる
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