• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

ナノ化技術を用いた点眼による網膜療法の確立と緑内障治療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 25860129
研究種目

若手研究(B)

研究機関近畿大学

研究代表者

長井 紀章  近畿大学, 薬学部, 講師 (90411579)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードナノ粒子 / シロスタゾール / 眼後部治療 / 網膜 / 緑内障 / 角膜透過 / 眼圧 / DDA
研究概要

緑内障による失明患者の減少を目指すべく、平成25年度はシロスタゾール(CLZ)ナノ粒子含有点眼液の処方設計及び点眼後の眼内動態眼の測定(眼後部薬物到達量の測定)について検討した。
1)高い安定性及び保存性を有するCLZナノ粒子含有点眼液の調製:界面活性剤(ソディウムドキュセート)、ベンザルコニウム塩化物、セルロース及びシクロデキストリンを添加剤として用い、ビーズミル法により乾式及び水中破砕を行うことで、安定な分散性及び粒子状態を有するCLZナノ結晶点眼液を調製した。さらにこれらは日本薬局方に従った保存性試験(大腸菌使用)にて高い保存効果を有していることが確認できた。
2)CLZナノ粒子含有点眼液点眼後の体内薬物分布及び動態を確認:上記にて調製したCLZナノ粒子含有点眼製剤は、点眼後速やかに角膜を透過し、眼内へ移行することが確認できた。また、結膜や眼周辺部に対しても高い透過性を示し、眼周辺部を介した網膜への薬物到達が可能であることを明らかとした。
3)CLZナノ粒子含有点眼液の眼内降下作用:ブドウ糖負荷による高眼圧モデルに点眼することで、市販点眼薬(プロスタグランジン系)と同程度の高い眼圧降下作用を示した。
以上、CLZナノ粒子含有点眼製剤の調製法を確立した。さらに、これら点眼製剤は点眼による網膜への薬物送達が可能であり、眼圧降下作用も有しているという知見が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

CLZナノ粒子含有点眼製剤の調製法を確立した。さらに、これら点眼製剤は点眼による網膜への薬物送達が可能であり、眼圧降下作用も有していることが確認できた。これにより来年度には、CLZナノ粒子含有点眼液の角膜傷害性を把握することができると考える。また、CLZナノ粒子点眼製剤点眼による網膜・視神経保護効果についても検討可能である。さらに、他の抗緑内障点眼剤との併用による相互作用及び相乗効果についての確認も容易に可能である。これら新規ナノ粒子点眼製剤の確立及び評価結果は、これまでの点眼製剤と比較し非常にユニークな特性を示しており、本年度の研究が順調に進展していることを示している。

今後の研究の推進方策

硝子体にエンドセリン-1を注入することで網膜血管を収縮させたラットモデルを用い、CLZナノ粒子含有点眼製剤点眼による網膜血管での薬効(血管拡張作用)について明らかとする。これにより本年度明らかとした点眼後の薬物動態と薬効を併せたPK/PDの把握が可能となり、CLZナノ粒子含有点眼製剤点眼の有用性が明確に評価可能である。また、本製剤の角膜傷害性や市販点眼薬との相互作用を明確にし、より実践的な評価を行っていく予定である。

次年度の研究費の使用計画

H25年度未からH26.4月初期に実施予定の実験があり、その実験材料費として残額分を使用予定のため。
次年度の研究費は次のものを購入するために使用する予定である。点眼液調製のための試薬・眼圧及び網膜, 視神経障害度測定のための試薬費・実験動物購入費(Wistar系ラット, 日本白色種家兎)・ミル法のためのジルコニア製容器及びビーズ細胞培養のための栄養液、容器及び実験処理試薬費(角膜傷害性評価のため)。また、H25年度未使用分予算についてはH26.4月初期に使用予定の試薬代[点眼液調製のための試薬・眼圧及び網膜, 視神経障害度測定のための試薬費・実験動物購入費(Wistar系ラット, 日本白色種家兎)]として用いる予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Improved corneal toxicity and permeability of tranilast by the preparation of ophthalmic formulations containing its nanoparticles2014

    • 著者名/発表者名
      Nagai Noriaki
    • 雑誌名

      Journal of Oleo Science

      巻: 63 ページ: 177~186

    • DOI

      dx.doi.org/10.5650

    • 査読あり
  • [学会発表] 眼圧降下と網膜症治療を同時標的とした次世代 緑内障治療薬“医薬品ナノ結晶点眼製剤”の開発2014

    • 著者名/発表者名
      長井 紀章
    • 学会等名
      日本薬学会第134年会
    • 発表場所
      熊本(熊本大学)
    • 年月日
      20140327-20140330
  • [学会発表] 網膜疾患治療を目的とした医薬品ナノ結晶点眼製剤の開発2013

    • 著者名/発表者名
      長井 紀章
    • 学会等名
      第63回日本薬学会近畿支部総会・大会
    • 発表場所
      同志社女子大学(京都府)
    • 年月日
      20131012-20131012
  • [備考] 近畿大学薬学部 製剤学研究室

    • URL

      http://www.phar.kindai.ac.jp/pharmtec/

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi