研究課題
緑内障による失明患者の減少を目指すべく、平成26年度は前年度作成したシロスタゾール(CLZ)ナノ粒子含有点眼液を用い、点眼後の網膜での薬効発現及び点眼時における角膜傷害性について検討した。この結果、これらCLZナノ粒子含有点眼液が、点眼による眼後部治療を可能とする優れたドラックデリバリー製剤であることを明らかとした。1.CLZナノ粒子含有点眼液点眼による網膜血管拡張作用の確認:網膜での薬効は、1×10<sup>-5</sup> Mエンドセリン-1(ペプチド研究所株式会社)20 microliterを硝子体注射することで、網膜血管を収縮させ、点眼後の網膜血管径を測定することで評価した。その結果、 CLZナノ粒子含有点眼液を点眼することで、これらエンドセリン-1による網膜血管の収縮が顕著に抑制されることを明らかとした。2.CLZナノ粒子含有点眼液の角膜障害性についての検討:ラット角膜上皮剥離ラットを用いたin vivo角膜傷害性評価法を用いて検討を行った。 CLZナノ粒子含有点眼液による角膜傷害性は市販の緑内障治療薬と同程度または低値であり、安全な製剤であることが確認できた。3.他の抗緑内障点眼剤との併用による相互作用及び相乗効果の確認:家兎眼圧上昇モデル及び夜間高眼圧家兎を用い、市販抗緑内障治療薬との併用により、CLZナノ粒子含有点眼液の眼圧降下作用がさらに高まる(相加効果)ことを明らかとした。また、併用時においてもCLZナノ粒子含有点眼液の網膜での薬効に変化はないことを確認した。以上、CLZナノ粒子含有点眼製剤は、点眼により非常に強力な網膜血管拡張作用を発揮することを示した。また、これら眼後部での薬効は、市販点眼薬の併用時においても影響を受けないことを明らかとした。
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Pharmaceutica Analytica Acta
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