• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

難溶解性薬物の消化管内溶解性部位差を考慮した新規薬物消化管吸収性予測法の構築

研究課題

研究課題/領域番号 25860133
研究種目

若手研究(B)

研究機関広島国際大学

研究代表者

田中 佑典  広島国際大学, 薬学部, 助教 (10435068)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード消化管吸収予測
研究概要

平成26年度研究費の前倒し申請の都合上、溶出試験器の購入が大きく遅れたため、まず、アルベンダゾール(AZ)の溶解度と膜透過性のデータから溶解度律速時における吸収性の予測を試みた。
吸収予測にはMaximum Absorbable Dose (MAD)の式(Xat=P×S×Cs×t)を利用した。Xatは時間tにおける消化管からの薬物吸収量、Pは薬物の消化管膜に対する膜透過性、Sは消化管内表面積、Csは消化管内溶液における薬物の飽和溶解度、tは消化管内薬物濃度がその飽和溶解度で推移している時間である。本検討では,吸収の部位差を評価するため、消化管を小腸上部、小腸下部、大腸の3つの部位に分けた.そして,各部位におけるP、S、Cs、tを評価することにより、それぞれの部位からの吸収量(Xaupper,t、Xalower,tおよびXacolon,t)をMADの式から求め、それらを合計することにより消化管全体からの総吸収量(Xatotal,t( Xaupper,t+Xalower,t+Xacolon,t))を算出した。さらにXatotal,tを投与量で除すことにより,消化管吸収率(Fa)を評価した。
始めに、絶食時におけるラットの小腸上部、小腸下部および大腸の水分中の総胆汁酸濃度、リン脂質濃度、pHを反映したラット小腸上部・下部人工腸液および人工大腸液を作製した。続いて、消化管各部位のみかけの膜透過性を各人工腸液にAZを溶解させin situ closed loop法により、飽和溶解度をShake-Flask法により評価した。消化管各部位の飽和溶解度持続時間は、経口投与後の消化管内AZ濃度を測定することにより求め、みかけの表面積は小腸および大腸の長さを直接測り計算した。
これらの結果から経口投与後2.5時間におけるin vivo Faを予測したところ、その値は25.6%となり、各部位の人工腸液を用いて予測したFaの2.5時間値24.5%と非常に近い値となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

申請時はモデル薬物としてグリセオフルビン(GF)を使用する予定であったが、GFの代謝に非線形が確認されたため、モデル薬物をアルベンダゾール(AZ)に変更した。AZはGFと同様、BCS Class IIに分類される難溶解性薬物である。
また、平成26年度研究費の前倒し申請の都合上、溶出試験器の購入が大きく遅れたため、まず、AZ溶解度と膜透過性のデータから溶解度律速時における消化管吸収率(Fa)の予測を試みた。これらのデータを得ることにより、AZの消化管吸収改善効果における可溶化剤の種類と量の関係を見積もり、当初予定していた溶出試験およびガストロプラスを用いた血中薬物濃度-時間推移予測の参考とする。

今後の研究の推進方策

AZの消化管膜透過性および溶解度における可溶化剤の効果を検討する。これらのデータを使用し、MADの式より簡易的に種々可溶化剤によるAZの消化管吸収改善効果を評価する。この方法により、AZ吸収改善効果が十分現れる可溶化剤の最適量を明らかにする。これにより、今後の実験の回数を減らすことが可能となる。続いて、種々可溶化剤を人工腸液に添加し溶出試験を行い、AZの溶解速度を評価する。
消化管膜透過性、溶解度および溶解速度をガストロプラスにインプットすることにより、血中薬物濃度-時間推移予測あるいはバイオアベイラビリティを予測する。
最後に、予測精度を評価するためラットを用いた吸収実験を行う。

次年度の研究費の使用計画

実験の達成度が遅れたため。
試薬購入または旅費。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Prediction of oral absorption of low-solubility drugs by using rat simulated gastrointestinal fluids: The importance of regional differences in membrane permeability and solubility.2014

    • 著者名/発表者名
      YUSUKE TANAKA*, TOSHIYUKI BABA, KOJI TAGAWA, RYOICHI WAKI, SHUNJI NAGATA.
    • 雑誌名

      J Pharm Pharm Sci

      巻: 17 ページ: 106-120

    • 査読あり
  • [学会発表] 消化管下部人工腸液を用いた難溶解性薬物の消化管吸収率予測

    • 著者名/発表者名
      田中佑典、馬場俊行、田川孝司、脇涼一、長田俊治
    • 学会等名
      薬剤学会第28年会
    • 発表場所
      名古屋

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi