研究課題
若手研究(B)
腱特異的なmiRNAを同定する為に、腱に発現する転写因子であるMkxのVenusノックインマウスを用いて、E14.5から頭部、内蔵を取り除いた組織からVenus陽性細胞をソーティングにより分離した細胞のtaqman array解析により同定したmiRNAについて、その発現を調査した。pri-miRNAのアンチセンスプローブを用いたwhole-mount in situ hybridization (WISH)により、腱特異的な発現パターンと思われたmiRNAについて、切片でのより詳細な発現解析を行った結果、当該miRNAは筋肉での発現であることが分かり、当該miRNAについての調査は終了した。また、その他のmiRNAについて、成体マウスから採取したアキレス腱、尾腱とその他の組織から採取したRNAサンプルを用いたtaqman probeによるリアルタイムPCRにより、腱特異的に発現する4つのmiRNA候補を同定した。これらmiRNAはpri-miRNAのプローブでは検出が不可能であったため、LNAプローブを用いたin situによる発現解析を現在遂行している。また、個体レベルでの解析の為に必須のノックアウトマウスの作製法について、CRISPRやTALENを用いたゲノム編集技術を用いた、より簡便かつ短期間で作製可能な方法を確立し、miR-146aおよびmiR-146bのノックアウトマウス作製に成功した。本法は、ES細胞による常法に比べ、大幅に作製期間を短縮することが可能である。さらに、miRNAの標的遺伝子同定の為のルシフェラーゼ遺伝子の3'UTRに約5000遺伝子のcDNAを導入したレポーターライブラリーを用いたスクリーニングシステムの有用性を評価する為に、miR-34aの標的遺伝子スクリーニングを実施した結果、既知の標的遺伝子と共に新規の標的遺伝子の同定に成功した(投稿準備中)。
2: おおむね順調に進展している
腱特異的miRNAの候補を取得し、また常法に比べ作製期間を大幅に短縮できるノックアウトマウス作製法を確立し、当初の計画よりマウス作製の短縮が可能となった。さらに次年度予定のスクリーニングシステムを前倒しでその有用性について検討し、良好の結果を得ることができた。以上のことから進行状況は概ね順調であると考える。
腱特異的な発現を示す可能性があるmiRNAを同定した。これらについてsection in situ等を行い、より詳細にその発現を観察する。得られたmiRNAについては、CRISPRシステムを用いたノックアウトマウスを作製し、その表現型を解析する。さらに標的遺伝子についてのスクリーニングを、開発したレポーターベクターを用いたスクリニーングシステムにより実施し、そのmiRNAの標的遺伝子を同定し、腱における機能について解析していく。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)
PLoS ONE
巻: 8(10) ページ: e76004
10.1371/journal.pone.0076004
Pharma Medica
巻: 31(4) ページ: 47-50