研究課題/領域番号 |
25860141
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岩野 智彦 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10442930)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ノックアウトマウス |
研究実績の概要 |
神経細胞の形態形成における極性輸送関連遺伝子の包括的な分子メカニズムを解明するため、極性輸送に関与する遺伝子のクローニングとそれらの相互結合関係について調べた。 線虫の RNAiスクリーニングにより極性輸送に関与する遺伝子は、当研究室において多数同定していた。多くの候補遺伝子の中から重要な因子を見いだして集中的に解析することが効率的である。タンパク質は複合体を形成して機能を果たすことが多いので、それぞれがどのように結合しているかを網羅的に調べ、結合の核となる遺伝子が見いだされれば、それが特に重要だろうと考えた。 線虫の候補遺伝子は81種類あり、それらを用いて酵母 2-ハイブリッド解析を行った。活性化ドメインを融合するpACT2につないだ70遺伝子とDNA結合ドメインを融合する発現ベクターpFBT9につないだ60遺伝子をつないだものを使用した。総当たりで、計4200組み合わせの酵母2-ハイブリッド解析を行った。その結果、ダイマーを形成すると考えられる遺伝子が5個、pACT2-pFBT9の組み合わせで、片方の組み合わせでしか結合しなかったものが23個同定された。しかしながら、それらのなかで再現性があり有意な結果には結びつくものがなかった。 そこで当初の計画に立ち上り、線虫での表現型が興味深く、細胞の恒常性維持にとって重要と考えられるRab1に着目し、線虫Rab1のマウスホモログであるRab1a, Rab1bのノックアウトマウスを作成・観察している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理由1、酵母2ハイブリッド実験の過程で、プレートのコンタミネーション等で結果の判断ができなかったものに対して再実験を要したので、予定より時間がかかってしまった。 理由2、当初ノックダウン実験を想定していたが、効率の良いものが得られなかったためノックアウトマウスの作成に予定を変更することになった。
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今後の研究の推進方策 |
ノックアウトマウスのCRISPRベクターを作成する。特異的効率的なCRISPRベクターが作成できないことも想定し、RNAi実験用のshRNAやsiRNAも引き続き探索を続ける。万が一、それでもうまくいかない場合、海外で作成されたKOMPなどのノックアウトマウスES細胞を購入し解析に使うことも視野に入れておく。 ノックアウトマウスが得られたら、脳の組織切片染色や初代神経細胞培養の方法で神経細胞の形態を観察し、細胞内極性輸送について解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成25年から26年度に、タンパク質インタラクトームの実験を行ったが、再現性があり有意な実験結果が得られなかった。そのため計画を変更する必要があり、線虫での結果にさかのぼり、重要と考えられる遺伝子Rab1に着目し、そのノックアウトマウス作成とノックダウン実験を始めるに至った。またタンパク質結合の確認実験に時間を要し、計画より遅れ、未使用分が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
神経細胞に対するノックダウンsiRNAの消耗品購入や、ノックアウトマウス作成とその観察・解析のための費用にあてる。また、その結果を発表するための学会渡航費の費用にもあてる予定である。
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