研究概要 |
<多色蛍光ライブセル観察によるRit1と各種貪食マーカーとの時空間的な相関関係の明確化> ファゴゾーム形成時におけるRit1 の詳細な細胞内局在は不明である。そこで本年度は、ファゴサイティックカップの形成・閉鎖に重要なPI(4,5)P2、PI(3,4,5)P3 を認識する蛍光プローブ(PLC-PH、Akt-PH)を用いてRit1との多色蛍光ライブセル観察を行った。RAW264マクロファージにYFP-Rit1とCFP-PLC-PHあるいはCFP-Akt-PHを共発現させ、Zymosanの貪食過程を顕微鏡観察したところ、Rit1はこれらのマーカーと極めてよく共局在することが明らかとなった。Rit1のC末端領域はこれまでに、PI(3,4,5)P3と結合することが報告されている。そこで、Rit1の全長リコンビナント蛋白質を作製し、フォスホイノシチドとの直接的な結合について検討した。GST-Rit1とPIP strip membraneを用いてin vitro binding assayを行ったところ、Rit1はPI(3,4,5)P3のみならずPI(4,5)P2と直接結合することが判明した。 <活性化型Rit1結合プローブによるRit1活性化状態の追跡> Rit1の活性化型はこれまでにRGL3と結合することが報告されている。そこで、貪食過程におけるRit1の活性化状態を調べる目的でRGL3のGST融合蛋白質を作製した。予備実験として、Rit1のGTP及びGDP結合変異体を発現させたCell Lysateを用いてGST pull down assayを行ったところ、作製したリコンビナントはRit1のGTP結合型に強い親和性を示した。現在、この精製蛋白質を用いて貪食過程におけるRit1の活性化状態を検討中である。
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