研究実績の概要 |
特発性手根管症候群は、閉経後女性に多く最も頻度の高い絞扼性神経障害とされ、QOLを著しく障害する。本研究では、手根管症候群に認める結合組織の過剰な線維化が、ホルモンバランスの変化によって生じる局所の間葉系幹細胞 (Mesenchymal stem cell, MSC)の機能異常に起因するというコンセプトで実施する。目的は、手根管局所のMSCの分化能、増殖能、免疫制御能などMSCの形質を解析し、エストロゲンとの関連性を明らかにすることによって、本疾患の病態解明および新規治療法開発に繋げることである。平成26年度においては、手根管症候群の患者6名から採取した局所間葉系幹細胞を単離、培養し、FACSによる表面抗原(CD10, CD13, CD105, CD166, CD49a, CD90, CD44, CD147, CD73; CD14, CD45, CD34, CD117, CD62e, CD20, CD113, HLA-DR, CD68, CD31, ALP)、増殖能を検討した。また、さらに局所滑膜下結合組織に存在する間葉系幹細胞の分化能、およびMSC・培養上清から産生されるサイトカインなどを解析中である。また、採取した滑膜下結合組織における炎症性・線維性変化の形態学的解析、線維芽細胞マーカー、炎症性サイトカイン/ケモカイン、細胞外マトリックス、増殖因子およびエストロゲン, エストロゲンレセプターのタンパク発現および遺伝子発現を解析中である。
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