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2014 年度 実施状況報告書

成体脳海馬神経新生における酸感受性イオンチャネルASIC1aの役割

研究課題

研究課題/領域番号 25860145
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

熊本 奈都子  名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30467584)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード成体脳神経新生 / ASIC1a
研究実績の概要

ASIC1aが成体脳海馬新生ニューロンの樹状突起の発達に及ぼす影響を解析するため、ASIC1a遺伝子を標的としたshRNAとEGFPを共発現するレトロウイルスベクターを用いた遺伝子導入にてマウス海馬新生ニューロンのASIC1aをin vivoでノックダウンし、脳切片を作製、共焦点レーザー顕微鏡でEGFP陽性(=ASIC1aノックダウン)新生ニューロンのZスタック画像を取得した。3D画像解析ソフトにて樹状突起とスパインの形態を調べたところ、ASIC1aをノックダウンした新生ニューロン(誕生28日目)では総樹状突起長が短くなり、mushroomタイプのスパインの最大径が小さくなっていた。当研究室が所有するASIC1aノックアウトマウスでもEGFPを発現するレトロウイルスで海馬新生ニューロンをラベルし、同様の手法で形態解析した結果、総樹状突起長が短く、スパインの大きさが小さい傾向が認められた。
上記実験と平行し、既存の神経回路への組み込みにASIC1aが作用するか否かを調べるため、嗅内皮質由来の貫通性線維と海馬新生ニューロンとのシナプス結合とシナプス成熟度を電気生理学的手法にて解析中である。具体的には、上述のレトロウイルス(shASIC1a+EGFP)をマウスに注入し28日後に海馬急性スライス標本を作製、EGFP陽性(=ASIC1aノックダウン)新生ニューロンにパッチクランプを施行し、嗅内野からの貫通線維を刺激して、グルタミン酸作動性の誘発性興奮性シナプス後電流(eEPSC)を測定した。貫通線維の刺激で興奮する新生ニューロンの割合と惹起される電流の大きさをコントロールと比較したところ、記録した新生ニューロンにeEPSCが観察される確率は低くなり、EPSCの大きさも小さくなった。現在、AISC1aノックアウトマウスでも同様の傾向が観察されるか、検討中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

形態学的解析により、shRNAによるASIC1aのノックダウンで得られた海馬新生ニューロンの樹状突起とスパインの発達抑制がASIC1aノックアウトマウスでも確認でき、ASIC1aが新生ニューロンの樹状突起の発達とスパイン形成に重要な働きを持つことが示唆された。
電気生理学的解析でもshRNAによるASIC1aのノックダウンでシナプスの成熟が抑制されることが示され、形態学的解析で確認された結果と矛盾しないことがわかった。
しかし、電気生理学的解析の実験系の確立に予定より時間がかかったため、実験計画がずれ込み、本年度終了予定であった、ASIC1aノックアウトマウスを用いた電気生理学的解析は現在検討中である。

今後の研究の推進方策

ASIC1aノックアウトマウスでの電気学的解析を終了させ、論文として報告する。さらに、脳虚血による脳損傷後の機能回復にASIC1aが関与・貢献するかどうか、脳虚血モデルマウスを用いた行動解析により個体レベルで調べていく。

次年度使用額が生じた理由

本年度中に終了予定であったASIC1aノックアウトマウスを用いた電気生理学的解析が終了していないため、使用予定であった74万円が使用できていない。

次年度使用額の使用計画

翌年度分として請求した助成金74万円は、上述のASIC1aノックアウトマウスを用いた電気生理学的解析に必要な、ノックアウトマウスの飼育費と電気生理学的解析に使用する消耗品費(ガラス電極や試薬等)に充てる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 成体脳海馬神経新生における水素イオン感受性陽イオンチャネルASIC1aの役割2014

    • 著者名/発表者名
      熊本奈都子、星川真理子、柴田泰宏、植田高史、鵜川眞也
    • 学会等名
      第37回日本神経科学大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県・横浜市)
    • 年月日
      2014-09-11

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公開日: 2016-06-01  

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