研究課題
本研究の目的は、平成23年度に採択された若手研究B(課題番号:23790233)の補助のもと確立したラット下垂体前葉細胞の3次元培養法(Acta Histochem Cytochem 46: 121-127, 2013. 平成26年度に論文賞受賞)を用いて、下垂体の組織構築における濾胞星状細胞の役割を解き明かすことにある。平成25年度の実験で、濾胞星状細胞がゴナドトロフで合成される基底膜成分ラミニンの放出に重要であることを明らかにした。平成26年度は、そのデータをまとめた論文が国際誌に受理された(Acta Histochem Cytochem, 47: 239-245, 2014)。また、これまでの研究により、濾胞星状細胞が周皮細胞のコラーゲン合成に関与していることがわかっている。平成26年度は、その詳しい分子メカニズムを調べた。本研究では、線維化サイトカインとして知られているTransforming growth factor beta(TGFb)に着目した。RT-PCR法とin situ hybridization法により、濾胞星状細胞にTGFb2が、周皮細胞にその受容体であるTGFBR-IIが発現していることを明らかにした。また、3次元培養したラット下垂体前葉細胞にTGFb2添加したところ、コラーゲン合成量が増加し、TGFb受容体の阻害剤でその合成が抑えられることも明らかにした。さらに、TGFb2の細胞内シグナル分子であるSmad2がTGFb2受容後、周皮細胞の核内に移行することも確認した。これらの結果から、周皮細胞のコラーゲン合成に濾胞星状細胞で合成されるTGFb2が関与することが示唆された。現在、これらのデータをまとめ、論文を作成している。上記の研究データは、第87回日本内分泌学会、第16回国際内分泌学会、第29回日本下垂体研究会、第55回日本組織細胞化学会、第120回日本解剖学会で発表を行った。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件)
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