研究課題
1.ラット下垂体前葉細胞の一つである濾胞星状細胞は、S100βタンパクを発現することで同定される非ホルモン産生細胞である。この濾胞星状細胞は細胞外マトリックスの一種であるプロテオグリカンを発現することでも特徴づけられる。さらにこの濾胞星状細胞はheterogeneity性が高く様々な性質の細胞が総称されてそう呼ばれている。申請者はそのheterogeneity性を分離する方法として細胞外マトリックスの基底膜成分であるラミニンとの親和性に着目し、ラミニンと接着性の強い濾胞星状細胞(プロセスタイプ)と弱い細胞(ラウンドタイプ)に分類できることを見出して、それぞれを簡単にピペッティング操作によって単離する方法を発見した。そして単離した細胞を使い、マイクロアレイ解析を行うことで差次的遺伝子発現を網羅的に行った。そしてプロセスタイプがプロテオグリカンを発現する濾胞星状細胞であることを証明した。2.プロテオグリカンを発現しないラウンドタイプからケモカインの一つであるCXCL10が発現することを分子生物学的手法、初代培養、in situ hybridization法を用いて明らかにし、ラウンドタイプの濾胞星状細胞は樹状細胞様であることを証明した。3.プロテオグリカンを発現しないラウンドタイプがプロトンレセプターを発現し、細胞周囲酸性環境を受容することで、炎症性サイトカインインターロイキン6(IL-6)を産生すること、さらにIL-6はACTH産生細胞に作用し、そのACTHの前駆遺伝子であるPOMC発現の抑制を引き起こすことを明らかにした。以上から、プロテオグリカンを発現しないラウンドタイプの濾胞星状細胞は周囲ストレスを受容することでACTH産生を局所的に調節する樹状細胞様の性質と機能を持った細胞であることを明らかにした。
杏林大学保健学部教員紹介http://www.kyorin-u.ac.jp/univ/faculty/health/staff/detail.php?id=hea40212
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