昨年度に続き、心臓発生過程でのHippoシグナルの機能解明を目的として検討した。 これまでにHippoシグナルエフェクターであるYap1とその下流で転写制御をうける分子Ctgfaを抑制した個体では、心臓前駆細胞の背側に位置する内胚葉のシート形態が欠損し、正中軸へ向けた心臓前駆細胞移動が阻害されることを明らかにした。 本年度は、全身でのYap1-Teadの転写活性化をモニターできるレポーターフィッシュを作成し、個体発生過程を観察したところ、内胚葉細胞においてレポーター活性が観察された。続いて、Yap1またはCtgfa発現抑制した細胞を内胚葉へ分化させたキメラ個体を観察したところ、内胚葉形態が欠損し、心臓前駆細胞の移動過程が阻害されることを明らかにした。一方で、Yap1またはCtgfa発現抑制した細胞を心筋前駆細胞へ分化させたキメラ個体を観察したところ、内胚葉形態・心臓前駆細胞移動ともに正常に発生することが明らかになった。以上の結果からYap1-Teadを介したCtgfa発現制御は内胚葉で細胞自律的に働き、内胚葉細胞の形態維持に働くことを明らかにした。 本研究で得られた知見は研究実施期間内にDevelopmental Cell誌に報告した。
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