電位依存性遅延整流型K+チャネルのひとつKv1.3は、成熟した腎臓では集合管細胞に多く発現し、尿中へのK+排泄に関与することが知られるが、発生・再生過程の腎臓における発現、およびその生理学的意義については、これまでに調べられたことがない。本研究では、電気生理学的手法を、分子生物学的手法と組み合わせて用いることにより、発生腎および再生腎においては、Kv1.3の活性が、細胞の分化・増殖を促すことを明らかにした。とくに、尿管芽から後腎間葉細胞にかけて発現するKv1.3は、腎発生初期の分化の過程に大きな役割を果たしていると考えられた。
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