研究課題
若手研究(B)
本研究では、ヒストン脱メチル化酵素であるFbxl10の精子形成における機能を詳細に解析している。初年度である平成25年度はまず、Fbxl10を欠損したマウスの精巣を免疫組織学的に解析することで、精子形成におけるFbxl10遺伝子の機能について検証した。その結果、Fbxl10を欠損したマウスでは加齢にともなって精子形成に異常が見られる精細管の割合が有意に上昇することを確認した。一方で、性成熟直後の弱齢マウスでは野性型と比較して精子形成に顕著な差は見られなかった。この結果より、Fbxl10が持続的な精子形成に重要な役割を果たしていることが示唆された。次に、弱齢および加齢Fbxl10欠損マウスから精原細胞を回収し、マイクロアレイを用いて同週齢の野性型マウス精原細胞との遺伝子発現パターンの比較を行った。その結果、弱齢のFbxl10欠損マウスから回収した精原細胞は、弱齢であるにもかかわらず野性型の加齢精原幹細胞と類似の遺伝子発現パターンを占めることが明らかとなった。このことから、Fbxl10を欠損することにより精原細胞において早期加齢が生じていることが示唆された。さらに、Fbxl10欠損マウスから培養精原細胞株を樹立し野性型培養精原細胞株の性状比較を行ったところ、Fbxl10欠損細胞ではいくつかの加齢マーカーが有意に上昇し、さらに細胞の分裂周期が長くなることが明らかになった。以上の結果を踏まえ平成26年度は、Fbxl10欠損に起因して早期加齢を誘発する分子基盤について詳細な解析を行う。
2: おおむね順調に進展している
十分な量の遺伝子欠損マウスを確保できていることから、ほぼ計画通りに解析を進行できている。
研究計画書に記載したとおり、Fbxl10欠損マウスの精子におけるメチル化解析を中心に解析を進める。
当初計画よりマウスの購入量が少なかったため。また、国際学会での発表が当初予定回数よりも少なかったため。引き続き実験に必要な物品の購入に当てるとともに、成果を報告した雑誌の出版代として使用する。また、1年目の成果と合わせて国内学会、国際学会で発表を行うための旅費に当てる。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
Stem Cell Research
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10.1016/j.scr.2014.04.012