研究課題/領域番号 |
25860167
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
駒切 洋 岩手医科大学, 医学部, 助教 (80405753)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | カルシウムチャネル / カルシウム流入 / 調節性容積減少 / 低浸透圧 / 皮質集合管 |
研究概要 |
腎臓皮質部の集合管に流入する管内液の浸透圧は水の再吸収量の調節の過程で大きく変動する。そのため皮質集合管では浸透圧の変動に応答した細胞容積調節メカニズムが常に働き上皮細胞の機能と恒常性の維持に重要な役割を果たしている可能性が考えられる。浸透圧の変化に応答した細胞容積の調節にはK+チャネル、Cl-チャネル及びそれらの調節因子として細胞内Ca2+が重要な役割を果たすと考えられている。研究代表者は以前、ラット皮質集合管主細胞における低浸透圧刺激による細胞内Ca2+濃度上昇にニカルジピン感受性の細胞外Ca2+流入経路が関与することを明らかにした。本研究ではこの低浸透圧刺激によって活性化するCa2+流入経路の実体を明らかにすることを目的にパッチクランプ法を用いて実験を行った。 新鮮単離したラット皮質集合管主細胞に対するセルアタッチ記録による測定では低浸透圧刺激後、large-conductance Ca2+-activated K+ channel (BKチャネル)の開口確率の顕著な上昇が見られた。この低浸透圧刺激によるBKチャネルの活性化はニカルジピン存在下では観察されなかった。この結果から、低浸透圧刺激時のBKチャネル活性化にニカルジピン感受性のCa2+流入経路が関与している可能性が示唆された。一方、conventional ホールセル記録法による測定からは低浸透圧刺激によるCa2+電流の活性化は観察されなかった。低浸透圧刺激によるCa2+流入経路の活性化には何らかの細胞内情報伝達経路が関わっていることが予想される。そのため次年度は細胞内環境をよりintactに保った状態で測定できるperforated patch clamp法を用いて低浸透圧刺激によって活性化するCa2+電流の探索を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
セルアタッチ記録では以前のCa2+濃度測定実験で示唆されたニカルジピン感受性のCa2+流入経路を裏付ける実験データが得られたが、一方でconventionalホールセル記録法では目的の電流を測定することが出来なかった。計画では実際にconventionalホールセル記録法で測定した電流についてその性質から分子を推測し、同定するための実験を行う予定だったがそれが行えなかったため達成度はやや遅れていると自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
目的とするCa2+電流の活性化には何らかの細胞内情報伝達経路の関与の可能性が考えられるため、細胞内環境をより生理的に保った状態で測定可能なperforated patch clamp法を用いて実験を行う。またそのためには長時間安定した記録をする必要が有るため当初計画には予定していなかった電動マニピュレータを導入する。 さらに計画では電流測定後に行う予定だったタンパク発現の確認 (免疫蛍光染色等)を既知のカルシウム透過性チャネル(電位依存性カルシウムチャネル、TRPチャネル)について電気生理学的実験と平行して実施し候補の絞り込みを行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
計画に従ってconventional ホールセル記録法によって腎皮質集合管標本から目的のCa2+電流の測定を目指し実験を行ったが目的の電流の測定には至らなかった。計画ではこの実験によって実際に測定された電流の性質から、その電流を担うイオンチャネルの分子同定を行う予定であり、そのための予算を組んだがその実験は行えなかった。そのために次年度使用額が生じた。 平成26年度はより細胞内の環境を生理的に保った状態で電流測定が可能となるperforated patch clamp法を用いることによって目的の電流の測定及びその分子実体の同定を目指す。perforated patch clamp法を行うには長時間(1時間以上)安定した測定を行う必要が有るため、機器として電動式のマイクロマニピュレータを購入する。さらに上記電気生理学的実験と平行して腎皮質集合管に発現している可能性のあるカルシウム透過性チャネルの探索を免疫蛍光染色等の手法を用いて行い、候補分子の絞り込みを行う。そのための実験動物、試薬などの消耗品の購入に残りの予算を使用する。
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