睡眠相後退症候群(DSPS)は、明け方まで眠れず、午後まで起きられない睡眠障害であり、社会生活に深刻な支障をきたす。徹夜の後、健常者は直ちに回復睡眠に入るのに対し、患者は明け方まで眠ることができないという特徴もある。回復睡眠には、脳内に蓄積するアデノシンが大きく関わっている。このことから申請者は、DSPS 患者における睡眠制御の破綻にアデノシンシグナリングが関わっている可能性を考え、病態モデルマウスを用いてそれについて検証した。その結果、前脳基底核において断眠によるアデノシン受容体発現制御における障害を示唆する結果を得た。
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