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2013 年度 実施状況報告書

心臓自律神経系の発達と環境応答のメカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 25860177
研究種目

若手研究(B)

研究機関東京大学

研究代表者

浅香 智美  東京大学, 新領域創成科学研究科, 特任研究員 (90555707)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードメダカ / 心臓 / 自律神経 / 発達 / 環境応答
研究概要

本研究計画では、心臓自律神経系の活動に着目し、親と独立した環境で発生・生育可能な透明メダカを用いて、平成25年度から26年度の2年間で、映像により自律神経機能を獲得する時期を同定し、環境擾乱による自律神経応答評価と血清内で変動するペプチド因子を探索する、ことを目的とする。もって、乳幼児期の自律神経機能獲得における発育過程と環境が及ぼす影響のメカニズムについて明らかにする。本研究成果が、最終的に個体レベルでのストレスや環境応答という大きな現象や健康についての社会問題の一端をそのメカニズムから迫ることができる点で、本研究は非常に意義がある。
平成25年度は、まず自律神経の機能獲得評価として、メダカ胚(心臓形成時、ふ化直前)、稚魚(生後1日、2日、1週間、2週間、4週間、成魚(3ヶ月)の各時期で、成長に伴う安静時の自律神経活動を解析し、機能獲得を評価した。その結果、1ヶ月程度まで、発達に伴い自律神経活動が増強されていることが認められた。また、神経の発達を評価するために、αチューブリン抗体染色を実施し、孵化直前の胚において心臓自律神経の神経軸索が検出されることを確認した。次に、環境変化による自律神経機能評価として、メダカSK2成魚を用いて、光条件および放射線刺激後の心拍解析を行い、放射線刺激後1週間で組織切片上では異常が認められないにもかかわらず、心拍数が有意に減少し、その後回復するという応答が観察された。よって、光条件に加えて、放射線照射も環境条件として用いることとした。さらに、環境擾乱に応答する分子の探索の予備検討として、稚魚からサンプルを抽出し、GC-MSでの質量解析を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成25年度は、計画に示されているもののうち、発達における自律神経活動を予定通り評価し、環境条件を複数実施した。これらの成果を国内学会で発表した。特に、光に加えて放射線刺激による心拍への影響を見いだしたことは、当初の研究計画以上の成果であると考える。メダカ自律神経の染色については、平成25年度に抗体による染色が可能であることを確認し、国際学会および国際論文誌上に発表した一方で、アセチルコリン受容体やアドレナリン受容体の遺伝子の単離およびin situ hybridizationによる遺伝子発現評価については、平成26年度に実施する。また、平成26年度に実施する予定の質量解析に向けた予備検討は実施し、十分なサンプル量を得るために、サンプル調整を平成26年度に引き続き行う必要性が生じた。従って、一部変更はあるもののほぼ予定どおりに研究は遂行している。

今後の研究の推進方策

自律神経の機能獲得評価として、自律神経作用薬を投与し、薬への感受性から自律神経の刺激に対する受動的な機能発達を評価する。次に、抗体染色での神経の発達の評価に併せて、アセチルコリン、アドレナリン受容体のサブタイプを単離し、in situ hybridizationにより発現解析を行う。
環境変化による自律神経機能評価では、平成25年度に実施した系を用いて、環境が自律神経機能獲得に及ぼす影響を引き続き評価する。自律神経機能の可塑性に着目し、自律神経作用薬への応答の変化を映像により評価する。
環境擾乱に応答する分子の探索では、平成25年度に実施した系を用いて、光刺激に応答するメラトニン量、及びストレスホルモンとして知られるコルチゾールを定量する。また、血清サンプルから低分子量タンパク質を抽出し、質量解析によるペプチド分析を行う。コントロールと比較して、有意に量に変化の認められる配列をもとに、予想される分子を検索する。候補分子の機能をもとに、環境変化における自律神経機能変化の生じる原因と、正常な機能発達が生じるメカニズムについて考察し、成果をまとめる。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度は、計画に示されているもののうち、先に映像の取得および解析と環境条件による評価を重点的に実施することとしたため、遺伝子の単離およびin situ hybridizationによる遺伝子発現解析を平成26年度に実施することとなり、次年度使用額が生じた。
平成26年度には、研究開始当初の計画では、平成25年度に実施予定のアセチルコリン、アドレナリン受容体のサブタイプを単離し、in situ hybridizationにより発現解析を行う。次年度使用額は、遺伝子の単離およびin situ hybridizationによる遺伝子発現解析を実施するための、分子生物学的実験のための物品および試薬等の購入に使用する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Regular heartbeat rhythm at the heartbeat initiation stage is essential for normal cardiogenesis at low temperature2014

    • 著者名/発表者名
      Tomomi Watanabe-Asaka, Yoshio Sekiya, Hironori Wada, Takako Yasuda, Ikuya Okubo, Shoji Oda, and Hiroshi Mitani
    • 雑誌名

      BMC Developmental Biology

      巻: 14 ページ: 12-24

    • DOI

      10.1186/1471-213X-14-12

    • 査読あり
  • [学会発表] メダカの心臓自律神経の研究2013

    • 著者名/発表者名
      浅香智美、尾田正二、岩崎賢一、馬場昭次、三谷啓志
    • 学会等名
      日本動物学会 第84回岡山大会
    • 発表場所
      岡山大学津山キャンパス、岡山
    • 年月日
      20130926-20130928
  • [学会発表] Regular heartbeat rhythm at heartbeat initiation stage is essential for normal cardiogenesis2013

    • 著者名/発表者名
      Tomomi Watanabe-Asaka, Yoshio Sekiya, Hironori Wada, Ikuya Okubo, Shoji Oda, Hiroshi Mitani
    • 学会等名
      8th European Zebrafish Meeting
    • 発表場所
      バルセロナ、スペイン
    • 年月日
      20130709-20130713
  • [備考] 新領域:メダカ胚では、低温下で心拍開始期に生じる不整脈が心臓機能獲得を妨げる

    • URL

      http://www.k.u-tokyo.ac.jp/info/entry/7_entry18/

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公開日: 2015-05-28  

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