本研究はPAI-1阻害薬の抗炎症効果の分子薬理学的メカニズムを解明することを目的として実施した。複数の炎症性疾患モデルを用いてPAI-1阻害薬の薬効を評価可能なモデルを探索した。その結果、高脂肪食負荷による食事性肥満モデルにおける抗炎症効果並びに、それに伴う全身のエネルギー代謝改善効果を見出した。PAI-1阻害薬の薬効発揮メカニズムを検討した結果、脂肪細胞の分化抑制効果による脂肪蓄積の抑制効果と、肝臓や脂肪組織へのマクロファージの浸潤抑制効果が協働的に作用することにより、薬効が発揮されていることが明らかとなった。以上の結果から、PAI-1阻害薬の代謝改善薬としての可能性が示された。
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