急性腎障害における細胞周期調節因子p21活性化および細胞老化の意義について検討した。p21はプレコンディショニングなどの処置に伴い、一過性に速やかに誘導される。これにより、腎近位尿細管が一時的なG1期における細胞周期停止状態になる。この機構は一週間以内に解除される。これによりDNA修復機構が活性化され、続く急性腎障害に対して、保護的に働いていることが示された。一方で、Nrf2やHIF-1、autophagy誘導あるいはミトコンドリア活性化など、細胞周期調節作用とは独立した細胞質内における保護作用を示唆するデータは得られなかった。
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