免疫反応を担うマクロファージは、様々な生活習慣病の病態にも関与することが明らかになり、新しい創薬標的として注目されている。本研究では、マクロファージ活性化のCa2+シグナル機序に注目し、その分子機序におけるNa+/Ca2+交換輸送体(NCX1)の生理的役割について調べるとともに、最近マクロファージ活性化との関わりが明らかにされたCa2+透過型TRPチャネル(TRPM2、TRPV2)との機能連関についても検討することを目的とした。現在までに、マクロファージにNCX1が高発現していることをreal-time PCRおよび特異的NCX1抗体による免疫染色により確認した。また、骨髄由来マクロファージ(M-CSF処置による分化誘導)を用いた蛍光ビーズ貪食活性の測定方法を確立し、NCX1の機能抑制(特異的NCX阻害薬処置やNCX遺伝子欠損)が活性化マクロファージの貪食能に影響を及ぼすことを実験的に観察した。さらに、同条件下で、マクロファージ活性化における細胞内Ca2+濃度変化とNCX1機能の関係を詳細に解析する予定であったが、平成25年10月に研究機関を異動することになり(福岡大学医学部より東京理科大学薬学部へ異動)、研究テーマの変更により、本研究を中断することとなった。
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