研究課題
本邦においては、現在、満足できる疼痛コントロールができているがん患者は多くなく、従ってより効果的な鎮痛薬の開発が求められている。近年、がん患者の疼痛伝達に一次知覚神経に発現する6回膜貫通型陽イオンチャネルtransient receptor potential (TRP) superfamilyのTRPV1やTRPA1などが重要な役割を果たすことが明らかとなっている。そこで、本研究はTRP発現神経特異的遮断候補薬として局所麻酔薬リドカイン誘導体に着目し、in vivo及びin vitro実験系を用いてリドカイン誘導体の薬理作用、ならびにがん性疼痛に対する鎮痛効果を評価し、臨床試験に向けて必要な基礎的データを蓄積することを目的とした。平成25年度は、リドカイン誘導体が作用するTRPチャネルサブタイプを探索し、リドカイン誘導体がTRPV1およびTRPA1を介して細胞内へ流入する可能性が示唆された。そこで、平成26年度はTRPV1とvoltage-gated Na+ channel (Nav)を共発現させたhuman embryonic kidney 293細胞を用いて解析を行ったところ、リドカイン誘導体はTRPV1を介してNav活性を抑制する可能性が明らかとなった。平成27年度は、抗がん剤よる末梢神経障害モデル、慢性炎症性疼痛モデル、神経障害性疼痛モデルなど様々な疼痛モデル動物を作製し、疼痛評価を行った。それぞれの痛みに対するリドカイン誘導体の評価は現在もなお継続して行っているところである。以上の実験結果より、各種疼痛モデル動物を用いたリドカイン誘導体の評価、その薬理作用については今後さらなる研究が必要であるが、本研究によりリドカイン誘導体はTRP発現神経特異的遮断薬として作用する可能性が示唆された。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (12件) 備考 (1件)
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