研究課題
現在、がん患者等の疼痛制御には主にオピオイド製剤が使用されているが、耐性形成などのために充分な鎮痛効果が得られない症例も多く、より効果的な鎮痛療法の開発が求められている。本研究は、オピオイド受容体をはじめとして現在その重要性が考えられている二量体化受容体の作用分子メカニズムを解明し、二量体化受容体特異的な鎮痛作用を持つ薬剤を探索することを目的とした。平成25年度は二量体化受容体特異的な薬効評価を行える新規アッセイ法、CellKeyシステムを用いて、ヒトμ、δ、κオピオイド受容体およびヒトCB1カンナビノイド受容体の単量体発現細胞株を作製し、評価の条件検討・最適化を行った。平成26年度は、二量体化受容体の中で最も研究が進んでいる。ヒトμ/δ二量体化受容体発現細胞株を作製し、CellKeyを用いアゴニスト処置による解析を行った。二量体化特異的薬物と報告されている薬剤の活性を解析したところ、単量体発現株と同様、二量体化受容体発現細胞においてもμ、δそれぞれのアゴニスト処置による活性を確認できた。しかしその後の詳細な解析により、単量体発現細胞で見られる波形を観察したのみで、単量体とは異なる二量体特異的反応を認めることはできなかった。そこで、耐性形成に重要な役割を果たしている受容体インターナリゼーション様式に注目し、二量体化受容体の特性を解析した。その結果、フェンタニル、オキシコドン以外のモルヒネのみが単量体受容体での反応とは異なり、二量体化受容体発現株において有意なインターナリゼーションを引き起こすことがわかった。以上の結果より、μ/δ二量体化受容体は単量体受容体と同様Gi/o蛋白質を介したシグナルを惹起すること、またCellkeyシステムをインターナリゼーションなど他の解析法と組み合わせることで、二量体化受容体の特性を解析できる可能性が示唆された。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 1件)
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