研究課題
ヒトでは1日に10億個の細胞死が誘導されるが、それらはマクロファージなどの貪食細胞によりすみやかに除去されて免疫寛容が誘導され、組織の恒常性が維持される。この機構が破綻し死細胞が遺残すると、それらに対する自己抗体が誘導され自己免疫疾患などの原因になる。死細胞は通称「eat me」と呼ばれるシグナルを提示し、マクロファージがこれを認識し、貪食すると考えられている。当研究室では、マクロファージに発現するLarge Maf転写因子MafBの機能を解析している。 MafBはMaf認識配列(MARE)に結合し標的遺伝子の発現レベルを制御することが分かっている。マクロファージにおけるMafBの機能は不明な点が多いことから、申請者はMafBの機能を網羅的に調べるため、発現マイクロアレイ解析を行い、C1qa遺伝子がMafB欠損マクロファージで減少していることを見出した。補体C1Qは、死細胞認識因子及び老化促進物質として知られているが、その転写制御機構は不明である。平成26年度では生体内におけるMafB機能解析として、自己免疫疾患モデルの誘導実験を行い、MafBがC1qを介して自己免疫疾患を阻害することが明らかとした。平成27年度ではゼブラフィッシュの実験系を用いて、MafBがC1qを制御することを示し、種を超えてこのメカニズムが保存されていることを明らかにした。現在はヒトのMAFB変異患者のサンプルを用いてC1Qの発現がどうなるのか検討し、すべての結果を論文にまとめている。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
FEBS openbio
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1002/2211-5463.12058
Biochemical and Biophysical Research Communications
巻: 473 ページ: 118-124
10.1016/j.bbrc.2016.03.063