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2014 年度 実績報告書

Wntシグナルによる細胞形態と増殖制御を介した上皮分岐管腔形成機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 25860211
研究機関大阪大学

研究代表者

松本 真司  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20572324)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード上皮管腔形成 / Wnt / EGF / Arl4c / YAP/TAZ
研究実績の概要

上皮細胞形態が増殖を制御する分子機構の解析を行い、以下の研究成果を得ている。
①ラット腸管上皮細胞株IEC6において、Wnt3aとEGFシグナルの同時活性化(Wnt3a/EGF)で発現が誘導され、上皮形態を制御する遺伝子としてArl4c (ADP-ribosylation factor-like 4c)を同定した。Arl4cの発現は三次元基質中でのWnt3a/EGF依存的な管腔形成にともなう細胞増殖に必要であった。管腔形成にともない、シスト構造から上皮細胞が周囲の基質中へと伸展・移動する際、伸長変化した細胞において細胞増殖活性化因子YAP/TAZが核内へと移行し、局所的な細胞増殖を誘導した。Arl4cはWnt3a/EGF依存的な上皮細胞の伸長変化と、YAP/TAZの核移行に必要であることが明らかになった。Arl4cの発現は細胞骨格制御因子であるRacの活性化とRhoの抑制を介して上皮細胞の伸長を誘導するが、阻害剤を用いたRhoシグナルの適切な抑制は、Arl4cを発現した場合と同様に上皮細胞の伸長とYAP/TAZの核移行を引き起こし、管腔形成が誘導された。これらの結果からArl4cによるRhoの抑制を介した上皮形態の制御がYAP/TAZを介して細胞増殖を活性化する新規の機構が明らかになった。
②免疫組織学的解析から器官形成期のマウス胎児において、Arl4cは腎臓原基の尿管芽先端部に強く発現していた。Arl4cの発現は尿管芽において、WntとFGFシグナルに依存していた。周囲の間葉組織を除去した尿管芽上皮をマトリゲル内でGDNF・FGF1・R-spondin存在下で器官培養し、管腔構造の形成を誘導する培養方法を確立した。Arl4cの発現抑制は尿管芽上皮の管腔形成を抑制したことから、胎生期の腎臓尿管芽の管腔形成にもWnt/増殖因子-Arl4cシグナルが関与することが明らかになった。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件) 図書 (2件) 備考 (2件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] A. Basolateral secretion of Wnt5a in polarized epithelial cells is required for apical lumen formation2015

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto, H., Awada, C., Matsumoto, S., Kaneiwa, T., Sugimoto, T., Takao, T., and Kikuchi
    • 雑誌名

      J. Cell Sci.

      巻: 128 ページ: 1051-1063

    • DOI

      10.1242/jcs.163683

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Arl4c expression in colorectal and lung cancers promotes tumorigenesis and may represent a novel therapeutic target.2014

    • 著者名/発表者名
      Fujii, S., Matsumoto, S., Nojima, S., Morii, E., and Kikuchi, A
    • 雑誌名

      Oncogene

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1038/onc.2014.402

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Wnt/β-カテニンシグナルは外分泌腺上皮の分岐と導管形成を制御する2014

    • 著者名/発表者名
      松本真司
    • 学会等名
      第87回 日本生化学会
    • 発表場所
      国立京都国際会館
    • 年月日
      2014-10-18 – 2014-10-18
  • [図書] G. I. Research「消化管の再生医療」 (In vitro実験系を用いた上皮管腔組織形成の分子基盤の確立)2014

    • 著者名/発表者名
      松本真司、菊池 章
    • 総ページ数
      72
    • 出版者
      先端医学社
  • [図書] プログレッシブ 生命科学 (細胞増殖・運動・死とがん)2014

    • 著者名/発表者名
      菊池 章、 松本真司
    • 総ページ数
      312
    • 出版者
      南山堂
  • [備考] 大阪大学大学院 医学系研究科 分子病態生化学

    • URL

      http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/molbiobc/

  • [備考] 新学術領域研究 上皮管腔組織形成

    • URL

      http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/molbiobc/tubulology/

  • [産業財産権] Arl4c遺伝子の発現を抑制する物質又はタンパク質の活性を抑制する物質を含む、癌の治療の為の医薬組成物(核酸を含む)2014

    • 発明者名
      菊池 章、松本 真司、藤井 慎介
    • 権利者名
      菊池 章、松本 真司、藤井 慎介
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      2014-99735
    • 出願年月日
      2014-05-13

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公開日: 2016-06-01  

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