研究課題/領域番号 |
25860214
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
丸尾 知彦 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 特命助教 (10625114)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | シナプス / パンクタアドヘレンティア / アファディン / ネクチン |
研究概要 |
平成25年度は、培養海馬分散神経細胞におけるアファディンのシナプス形成への役割を示し、この結果の一部を論文発表した。さらに、これまでに所属研究室で、アファディンやネクチンに結合することが示されている複数の分子に対する免疫染色を実施した。この結果、上皮細胞においてはアファディンとアドヘレンスジャンクションで共局在する分子においても、神経細胞のシナプス近傍では共局在する場合としない場合があることが明らかになった。これをさらに詳しく調べるため、培養系にTTXを添加して特定の神経細胞の近傍に巨大かつ、プンクタアドヘレンティアとシナプス結合が分離したシナプスが生じる実験系を、文献を参考に確立することが出来た。現在、これらについての解析を継続中である。また、アファディン特異的抗体カラムを作製し、脳から生化学的にアファディン複合体を精製した。具体的には、ロングフォームのアファディンを特異的に認識する抗体カラム、ロング・ショート両フォームを認識する抗体カラム、さらにはコントロールIgGカラムより調整した免疫沈降産物との比較質量分析法を行うことにより、特異的結合分子の網羅的同定を試みた。その結果、少なくとも数十種類の分子群が同定された。これらのうち数種類について、特異的抗体とcDNAを用いたin vivo, in vitroの結合確認実験を行い、ポジティブな結果を得ている。1つの分子については、新たに抗体を作製し、ノックアウトマウスの作成にも着手した。現在引き続き解析中である。また、既知のシナプスオーガナイザーを用いた非神経細胞と神経細胞間の人工シナプス再構成実験を行ったところ、分子種によってアファディンの関与が異なることが明らかになり、これについても解析を継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の提案時点でまとまりつつあった、神経特異的ノックアウトマウスを用いたアファディンのシナプス形成における役割に関する研究の一部を、論文という形で発表出来た。また、上記結果を発展させるべく所属研究室で発見されていたアファディン結合分子のシナプスにおける局在の解析を行った結果、上皮細胞と神経細胞では、アファディンを核とする超分子複合体の分子構成が異なっている可能性を見いだし、より詳細に接着構造を解析することが出来る系の確立にも成功した。さらに、マウス脳における新規のアファディン超分子複合体構成分子を多数見いだすことに成功した。また、直接的にシナプスオーガナイザーとの連関も、明らかにしつつある。これらの基礎的な知見をもとに、抗体やノックアウトマウスなど、機能に踏み込む研究を開始することが出来、これらは研究計画で想定していた通りの進展であり、研究はおおむね順調に進展しているということが出来る。
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今後の研究の推進方策 |
25年度までに得た知見をもとに、本年度はシナプス形成、形態の成熟過程およびグルタミン酸受容体の集積という、機能的側面とアファディン超分子複合体の連関を、分散培養系を用いて詳細に解析する。さらに、ノックアウトマウスの解析により、アファディン結合分子のin vivoにおける役割と、アファディンとの機能連関を明らかにすることを目標として研究を推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度の研究は予想以上に試行実験が順調に進行した為、必要経費が少なく済んだが、次年度以降、多くの支出が必要となる為、次年度使用額を生じることとなった。 抗体の作製やノックアウトマウスの維持、また必要な試薬や培養用品などの購入に使用する。
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