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2013 年度 実施状況報告書

レーザーアブレーションを利用した細胞創傷治癒機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 25860219
研究種目

若手研究(B)

研究機関名古屋市立大学

研究代表者

河野 恵子  名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30632723)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード細胞・組織 / ストレス / シグナル伝達 / タンパク質
研究概要

細胞の遺伝情報を包み込み外界のストレスから守る細胞膜の完全性を保つことは細胞の生存に必須である。細胞膜の微細な傷を修復する細胞創傷治癒機構に欠損があると、筋ジストロフィー症を始めとする様々な疾病が引き起こされるが、その分子機構には未だ謎が多く残されている。
細胞創傷治癒機構を包括的に理解するため、出芽酵母の非必須遺伝子を網羅的に破壊した破壊株ライブラリー、そして必須遺伝子のmRNA量を減少させたDAmPライブラリーを用いて、細胞創傷治癒に関与する遺伝子を網羅的に探索した。その結果、108の遺伝子が細胞創傷治癒の制御因子として同定された。
これらの因子は37の機能グループに分類することができ、ポジティブコントロールであるユビキチン・プロテアソーム系の因子、高等真核生物において細胞創傷治癒への関与が明らかになっているESCRT関連因子などが含まれていたことから、このスクリーニングが正しく機能していること、また細胞創傷治癒の分子機構が進化的に保存されていることが示唆された。
37の機能グループについてさらに深く解析を進めたところ、細胞老化に関与することが報告されている43の機能グループと、24の項目について一致していた。このことは細胞創傷治癒と細胞老化の間に生物学的に深い繋がりがあるという予想外の事実を示唆している。
また、スクリーニングヒットの中には細胞周期を制御する因子が多数含まれており、レーザーダメージ実験による詳細な解析の結果、細胞膜が傷つくことによって細胞周期の進行およびDNA合成が一時停止するというチェックポイント様の機構が新たに見出された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

細胞創傷治癒に関与する遺伝子を網羅的に同定するスクリーニングの結果、細胞創傷治癒と細胞老化との関わりという重要で興味深い事実が明らかになった。さらに、細胞膜に損傷が入ることで細胞周期の進行とDNA合成が一時停止するというチェックポイント様の機構も新たに見出されており、これらは申請時には予見できなかった知見である。

今後の研究の推進方策

今後は「細胞膜が傷つくことにより細胞は老化するのか」という問題を検討すると共に、新規チェックポイントの分子機構の詳細を明らかにすることを目指す。さらに、これらの機構が高等真核生物においても保存されているかどうかを解明し、細胞創傷治癒機構が関与する筋ジストロフィー症のみならず、細胞老化の抑制につながる知見を得ることを目指す。

次年度の研究費の使用計画

今年度は研究室内に既存のライブラリーと既存の実験系を利用したスクリーニングを主に行ったため、次年度使用額が生じた。
来年度は新たに培養細胞を用いて新たなレーザーダメージ実験系を立ち上げ、さらに出芽酵母の老化を検討する実験を新たに行うなど、研究室に既存の機器や試薬では行うことのできない研究を行うため、支出が大きくなることが予想される。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014 2013

すべて 学会発表 (7件) (うち招待講演 2件)

  • [学会発表] 細胞創傷治癒 ーその分子機構と老化との関連ー2014

    • 著者名/発表者名
      河野恵子
    • 学会等名
      第21回酵母合同シンポジウム
    • 発表場所
      東京大学(東京都)
    • 年月日
      20140903-20140903
    • 招待講演
  • [学会発表] 酵母で明らかにする、細胞が傷を治すメカニズム2013

    • 著者名/発表者名
      河野恵子
    • 学会等名
      第36回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド(兵庫県)
    • 年月日
      20131203-20131206
  • [学会発表] 酵母で明らかにする、 細胞が傷を治すメカニズム2013

    • 著者名/発表者名
      河野恵子
    • 学会等名
      分子生物学会前夜祭・酵母シンポジウム
    • 発表場所
      岡山大学(岡山県)
    • 年月日
      20131202-20131202
    • 招待講演
  • [学会発表] Proteasomal degradation downregulates linear actin nucleation and polarized secretion to enter and exit from cellular wound-healing2013

    • 著者名/発表者名
      Keiko Kono
    • 学会等名
      Cold Spring Harbor Yeast Cell Biology
    • 発表場所
      Cold Spring Harbor Laboratory (New York, USA)
    • 年月日
      20131105-20131109
  • [学会発表] 直鎖状アクチン重合因子フォーミンの交替は細胞質分裂に必要である2013

    • 著者名/発表者名
      河野恵子
    • 学会等名
      酵母遺伝学フォーラム第46回研究報告会
    • 発表場所
      東北学院大学(宮城県)
    • 年月日
      20130908-20130910
  • [学会発表] Proteasomal Degradation Resolves Competition between Cell Polarization and Cellular Wound Healing.2013

    • 著者名/発表者名
      Keiko Kono
    • 学会等名
      The 35th Naito Conference
    • 発表場所
      シャトレーゼガトーキングダムサッポロ(北海道)
    • 年月日
      20130709-20130712
  • [学会発表] Proteasomal Degradation Resolves Competition between Cell Polarization and Cellular Wound-healing2013

    • 著者名/発表者名
      Keiko Kono
    • 学会等名
      8th Aso International Meeting
    • 発表場所
      ホテルグリーンピア南阿蘇(熊本)
    • 年月日
      20130516-20130518

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公開日: 2015-05-28  

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