研究課題
転写因子GATA2はマスト細胞への分化決定に必要であることが知られているが、分化決定後におけるGATA2の機能についての詳細な解析は行われていなかった。本研究では、Cre-LoxPシステムによってGATA2のDNA結合ドメイン(C-finger:CF)を欠失する遺伝子改変マウスから骨髄由来マスト細胞(BMMCs)を調整し、十分にマスト細胞の形質を保持していることを確認したうえで4-Hydroxytamoxifen処理によりGATA2を欠失させ(G2DCF-BMMCs)、詳細な解析を行った。その結果以下の研究成果を得た。1. GATA2欠失により、マスト細胞に特徴的なc-KitとFceRIaの発現が減少すると同時に骨髄球のマーカーであるCD11bとLy6-G/Cの発現上昇がした。2. G2DCF-BMMCsではG-/GM-/M-CSFR等の発現が上昇し、各受容体に対応する増殖因子を含むサイトカインカクテルによって機能的な好中球様またはマクロファージ様の細胞に分化転換した。3. G2DCF-BMMCs用いてRNA-Seq解析を行った結果、対照と較べてマスト細胞関連遺伝子の発現が広範に減少し、Cebpaの発現が顕著に増加した。4.野生型BMMCsにCebpaを過剰発現した結果、G2DCF-BMMCsの表現型はほぼ再現され、さらにGATA2・Cebpaの二重欠損によりマスト細胞の形質は失われたがCD11b/Ly6-G/Cの発現上昇は認められなかった。以上の結果から、GATA2によるCebpaの発現抑制が、マスト細胞分化形質の維持にきわめて重要であることが示唆された。
高崎健康福祉大学・大学院 薬学部 分子生体制御学研究室http://www.takasaki-u.ac.jp/p_yaku_labo/yaku-02-01/
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