研究課題/領域番号 |
25860224
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
加藤 大樹 東京医科大学, 医学部, 助教 (30452709)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ミトコンドリア / 神経変性疾患 / 凝集 |
研究概要 |
近年,神経細胞のミトコンドリアが,核近傍へ凝集することによるミトコンドリアの分配異常が,神経変性疾患の病因の一つとして認識されるようになってきた。我々は,プリオンタンパク質が引き起こすミトコンドリア凝集を実験モデルとして,ミトコンドリア凝集には14-3-3zetaが必須であり,14-3-3zetaがミトコンドリアのキネシン輸送に関わるMiro1と複合体を形成することを見出してきた。H25年度は,以下の項目について解析を進めた。(1)14-3-3zetaとMiro1の複合体には,GRIF1が含まれていなかった。そこで,14-3-3zetaはGRIF1と競合的にMiro1と結合し,Miro1とキネシンの結合を阻害することで,ミトコンドリア輸送をダイニン側に傾け,核近傍にミトコンドリアが核近傍に凝集すると考えられた。これを明らかにするため,GRIF1の発現プラスミドを構築し過剰発現させ,ミトコンドリア凝集が低下するか否か解析を行った。しかしながら,GRIF1の発現プラスミドを細胞に導入しても過剰発現させることはできなかった。培養細胞でのタンパク質過剰発現の実験系は,タンパク質分解などにより過剰発現にならないことがある。そこで現在Miro1, 14-3-3zeta, およびGRIF1によるミトコンドリア凝集の分子メカニズムを明らかにするため,リコンビナントタンパク質を作成し,in vitro で3者の結合様式の解析を進めている。(2)14-3-3zetaとMiro1複合体には,他に8つのタンパク質が含まれていた。現在,質量分析による成分の同定を進めている。(3)ミトコンドリア凝集の分子メカニズムを明らかにするため,in vitroでのミトコンドリア凝集の再構成系の構築を進めている。現在までにin vitroで極性を持った微小管形成,およびミトコンドリア輸送アッセイの確立が完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H25年度は,GRIF1の過剰発現の効率が悪く解析を進めることができなかったこと以外は,計画通り進めることができた。また,GRIF1の過剰発現の問題に関しても,代替案としてin vitroでのMiro1, 14-3-3zeta,およびGRIF1の結合の解析を行うことを申請時に計画していたことから,おおむね順調に計画は進展したと言える。
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今後の研究の推進方策 |
GRIF1を培養細胞で過剰発現させることができなかったことから,リコンビナントタンパク質によるMiro1, 14-3-3zetaおよびGRIF1の結合様式の解析を行い,14-3-3zetaとGRIF1が競合的にMiro1と結合するかどうか明らかにする。また14-3-3zetaとMiro1複合体の構成成分を質量分析で同定し,それらがミトコンドリア凝集に関与するかどうか,タンパク質の過剰発現,およびsiRNAによるノックダウンを行い解析を進める。さらに因子群の同定後,in vitroでのミトコンドリア凝集アッセイを行い,ミトコンドリア凝集の分子メカニズムを明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
質量分析による14-3-3とMiro1の複合体成分の解析が途中であるため,H26年度へ予算を繰り越すこととなった。 H25年度と同様に研究経費は主に消耗品に使用し,その他,質量分析委託にかかる費用,旅費,および論文出版費に使用する。
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