本研究では温度感受性RNPベクターによる細胞制御を目的として、RNPベクターにOCT4、SOX2、KLF4、cMYCの搭載を行い、ヒト包皮線維芽細胞であるBJ細胞よりiPS細胞の作製を行った。その結果、RNPベクターで誘導されたiPS細胞は、OCT4、NANOG、SSEA4、TRA-1-60,TRA1-81をタンパク質レベルで発現していることが免疫染色により明らかになった。また、遺伝子レベルの解析では、NANOG、TERTが発現していることが確認された。NOD-scidマウスにiPS細胞を移植し、in vivoにおいてテラトーマの形成が認められた。 cMYCを搭載した温度感受性のRNPベクターをHeLa細胞に導入し、35℃で培養後、温度感受性RNPベクターの非許容温度である39℃で培養を行うことで、遺伝子レベルで細胞内から除去できることを示した。 温度感受性RNPベクターによるiPS細胞の誘導と温度シフトによるベクター除去により、本研究の主目的である温度感受性RNPベクターの細胞制御を達成した。
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