研究課題
本年度は、胃がんで変異のある遺伝子に注目し、そのがん化能を生体内で評価することを目的として研究を行った。これまでにマウス生体内で胃がん形成に関わる遺伝子のスクリーニングを行ってきたので、これより得られた結果と、TCGAデータベースにおいて公表されている人の胃がんゲノムシークエンスの研究結果を比べ、人とマウスで共通して変異が入っている遺伝子を抽出し、変異パターンから腫瘍抑制遺伝子の可能性が高いもの3つを選んだ。これら遺伝子に対するshRNAベクターを作成し、ヒト胃がん細胞株のAGSとMKN74において遺伝子発現をノックダウンした。また、これら3つの遺伝子に対するCRISPRベクターを購入し、AGS細胞に関してはゲノムレベルでノックアウトする方法も試みた。qPCRやウエスタンブロッティングを用い、遺伝子発現やたんぱく質発現を定量することでノックダウン効率を評価し、細胞株を樹立した。AGS細胞に関して、ノックダウン細胞株と親株をそれぞれヌードマウスとSCIDマウスの皮下に移植したが、移植後3ヶ月経過しても腫瘍形成を示さなかった。これはAGS細胞が移植可能であるという報告と異なる結果であった。これにより、ノックダウンした遺伝子の腫瘍形成能力を評価することができなかった。MKN74に関しては、STK3遺伝子をshRNAを用いてノックダウンした場合に、細胞増殖能が増加する傾向が見られた。MKN74の親株を用いたマウスへの移植の予備実験では、ヌードマウスではなくSCIDマウスにおいて腫瘍形成能が観察されたので、今後の実験においてはSCIDマウスを使う。
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Nature Genetics
巻: 47 ページ: 142-150
10.1038/ng.3175.
http://first.lifesciencedb.jp/archives/9773
http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20150427142924879