研究課題/領域番号 |
25860231
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
篠崎 昇平 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 寄附講座准教授 (40622626)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | S-ニトロソ化 / シグナル伝達 / 一酸化窒素 / メタボリックシンドローム / インスリン抵抗性 / 慢性炎症 |
研究概要 |
本研究はメタボリックシンドロームと慢性炎症を結ぶメカニズムを解明することにより、発症予防のための新たな手段の開発、および創薬のためのターゲットを発見することが目的である。本年度は、脂肪組織におけるS-ニトロソ化タンパク質の網羅的検出および同定、肝臓特異的GSNOR発現マウスの作成、iNOS-KO;ob/obマウスの作出を行った。脂肪組織における新規S-ニトロソ化タンパク質の検索および同定では、当初予定していた以上の結果を得ることができた。同定した新規S-ニトロソ化タンパク質の中には、アディポカインの発現にかかわる転写因子Xや、糖代謝に関係する酵素Yなどメタボリックシンドロームに関与しうるタンパク質を同定することができた。今後、in vitroにおいて同定されたタンパク質がS-ニトロソ化されることを確認する予定である。また、転写因子Xに関してはS-ニトロソ化による転写活性の影響をin vitroにおいて調べる予定である。肝臓特異的GSNOR発現マウスの作成では遺伝子導入まで成功し、トランスジーンされた個体を得るに至ったが、GSNORの強制発現を確認できるまでには至らなかった。アデノウイルスを用いて肝臓で強制的に発現される系を構築するか検討している。GSNOR強制発現マウスに関しては、標的臓器を脂肪組織に変更し、新たなマウスの作成を並行して行っている。iNOS-KO;ob/obマウスの作出に関しては、F2世代までの交配が完了しており、次年度に解析を予定している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新しく開発した網羅的S-ニトロソ化タンパク質の検出法を用い、複数の新規S-ニトロソ化タンパク質の同定に成功した。組織特異的GSNORの作出にはやや遅れが生じているものの発現ベクターの作成が完了しており、本年度内に解析可能と考えられる。また、iNOS;-KO;ob/obマウスに関してもF2世代までの交配が完了していおり、予定通りの解析が行えるため。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、同定した転写因子XがS-ニトロソ化の影響を受けて転写活性に変化があるか否かを検証する予定である。また、糖代謝に関係する酵素Yがメタボリックシンドロームに与える影響について検討する予定である。これらの検証には前述の動物を用いて行い、並行してin vitroでの検討を進めていく。
|
次年度の研究費の使用計画 |
iNOS-KOマウスの輸入費について、50万円を予算として計上していたが、実際にかかった費用が約25万であったため。また、新規S-ニトロソ化タンパク質の同定作業が予想よりも早くすすみ、機能解析のための試薬購入費が当初の予定よりも多くかかったため。 新規Sニトロソ化タンパク質の機能解析のための試薬購入費として使用予定である。
|