研究課題
平成25年度は微量遺伝子発現解析及びエピゲノム解析の技術開発を進めてきた。平成26年度は、その技術を発展させ、主に単一細胞における転写解析を行った。まず、iPS細胞及び神経系譜に分化誘導を行った細胞について、自動単一細胞解析装置(C1 Autoprep, Fluidigm社)を用いて各ステージで24細胞ずつの単一細胞のcDNAを合成及び増幅を行った。増幅されたcDNAはアダプタ及びインデックスの付加を行い、イルミナ社のHiSeq2500を用いて、配列決定を行った。その後、RPKMforGeneを用いて遺伝子の発現量に変換し、主成分分析を行った結果、細胞を回収した日ではなく、細胞の分化の度合いに従った細胞の並び替えが可能になった。また、この系譜から逸脱する細胞集団についても同様の実験を行い、正常の分化パスウェイとは異なる遺伝子発現を示すことが示された。このことより、神経分化の実験系と単一細胞遺伝子発現解析で、正常分化とそこからの逸脱を可視化することに成功した。同様の実験をiPS細胞から分化させた心筋細胞系譜でも行い、神経細胞系譜における遺伝子発現の変化とは異なるパスウェイを経由することを明らかにした。これらの結果から、本研究課題である「神経分化における正常とそこからの逸脱のイベントの同定」について、成果が得られたと判断した。さらに、これらの結果は、細胞分化の過程でダイナミックに変化する転写ネットワークを捉えることを可能にしただけでなく、細胞の分化状態を予測する応用ができることを示唆しており、今後の展開も期待される。
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