研究概要 |
本研究課題において、われわれはユビキチンリガーゼとその基質の関係を詳細に明らかにすることによって疾患の解明を目指している。われわれは前年度までにユビキチンリガーゼ-基質関係を網羅的に解析する方法(differential proteomics-based identification of ubiquitylation substrates: DiPIUS法)を開発し、報告していた(Yumimoto et al., J. Proteome Res. 11:3175-85, 2012)。本年度は、本方法を用いてSCF型ユビキチンリガーゼの1つであるFbxw7の解析をおこない、OASISおよびBBF2H7という2つの分子を基質候補として同定した。両者の関係について詳細な解析をおこなった結果、両者はともにFbxw7によりユビキチン化され分解される真の基質であること、およびFbxw7は両者の分解を通じて間葉系幹細胞から骨および軟骨への分化を制御していることを報告した(Yumimoto et al., J. Biol. Chem. 288:28488-502, 2013)。また、SCF型ユビキチンリガーゼFbxl3とその基質であるCryとの関係について解析をおこない、Fbxl3が他のユビキチンリガーゼとは異なる特殊な活性制御機構を持つことを見出した(Yumimoto et al., J. Biol. Chem. 288:32766-76, 2013)。さらに他の未知のユビキチンリガーゼに関しても精力的に解析をおこなっており、新規酵素基質関係を多数見出している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度には、研究代表者が筆頭著者であるユビキチンリガーゼと基質に関係する論文を2報報告した(Yumimoto et al., J. Biol. Chem. 288:28488-502, 2013, Yumimoto et al., J. Biol. Chem. 288:32766-76, 2013)。また申請書に記載した因子についても鋭意研究を進めている。以上より、研究は順調に進行していると考えている。
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