研究課題
非ホジキンリンパ腫で見出された変異型エピジェネティクス因子が胚性中心B細胞のリンパ腫形成にどのように関与するのか胚性中心B細胞へ遺伝子導入を行い、マウスへ移植することで検討を行った。その結果、変異型Ezh2あるいはMEF2B単独では腫瘍形成できないことが分かった。そこで、リンパ腫形成の抑制因子であるInk4a/Arf遺伝子を欠損させた細胞へ両変異型因子を導入し、移植を行ったが、結果的に腫瘍形成できないことが分かった。一方、リンパ腫で頻繁に異常が見られるc-Mycは単独でリンパ腫を形成させることができた。これらの結果から、変異型エピジェネティクス因子はがんを直接誘導するドライバーとしての能力を有さず、他のドライバー遺伝子の作用を補助する役割を担っている可能性が示唆された。さらに、c-Mycによって誘導されたリンパ腫を解析するとアポトーシス誘導因子であるFasの発現がリンパ腫において抑制されていることを見出した。そこでFasをshRNAによって発現抑制させたところ、高頻度にリンパ腫を形成した。つまり、Fasの発現抑制はリンパ腫発症に必須である可能性が示唆された。ヒトのリンパ腫の細胞株においてFasの発現抑制がどの程度で見られるのか調べたところ、84%においてFasの発現レベルが低いことが分かった。この発現抑制にエピジェネティクスが関与するのか阻害剤を用いた検討を行ったところ、幾つかの細胞株においてはDNAのメチル化及びヒストンの脱アセチル化の解除によりFasの発現が回復することが分かった。しかしながらEzh2の阻害剤ではFasの発現抑制を回復できなかった。このことからリンパ腫発症に伴うFas発現抑制の制御には少なくともEzh2によるヒストンメチル化は関与していない可能性が示唆された。今後、他の変異型エピジェネティクス因子についてもFas発現抑制への関与を解析していくことで高分化型リンパ腫の発症機構にいかに寄与するのか明らかにする必要がある。
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