エピジェネティクスの異常による遺伝子発現の制御破綻はがん化に密接に関与すると考えられてきた。本研究では成熟型悪性リンパ腫で変異が報告されたヒストン修飾を制御する因子Ezh2及びMEF2Bを解析した。変異型Ezh2はヒストンH3K27のトリメチル化を亢進したが、胚性中心B細胞へ発現してもリンパ腫の傾向を示さなかった。MEF2Bにおいてもリンパ腫の傾向を示さなかった。一方、リンパ腫で高発現が見られるc-Mycはリンパ腫を直接誘導できることを見出した。これらの結果から変異型エピジェネィクス因子はリンパ腫の直接的なドライバー因子ではなく、リンパ腫形成に間接的に寄与する可能性が示唆された。
|