研究実績の概要 |
最終年度は、昨年度までの検討によりLXRα/βダブル欠損マウスまたは西洋食付加により慢性肝障害を有したLXRα欠損マウスの肝臓で認められた、CD11b陽性Kupffer細胞/マクロファージの増加またはナチュラルキラーT (natural killer T, NKT) 細胞の減少による影響を個体レベルで詳細に検証するため、リポ多糖 (lipopolysaccaride, LPS) またはNKT細胞の選択的リガンドであるα-ガラクトシルセラミド (α-galactosylceramide, α-GalCer)刺激によるin vivo急性炎症モデルの解析を実施した。 1.野生型またはLXRα/βダブル欠損マウスにLPSを投与したところ、野生型と比較し顕著な血中トランスアミナーゼ値及びTNF-αやIFN-γなどの炎症性サイトカイン産生の増加を認めた。一方、α-GalCer刺激に対しては耐性を示した。 2.野生型またはLXRα欠損マウスに西洋食を4週間摂餌後、LPSを投与したところ、LXRα欠損マウスは顕著なサイトカイン産生または血中トランスアミナーゼ値の増加を認め、早期に死亡した。α-GalCerまたはNKT細胞活性化を介して急性肝炎を誘導するコンカナバリンA刺激に対しては耐性を示した。 以上の知見は前年度までに得られていた、肝免疫細胞組成変化、マウス肝免疫細胞の初代培養系を用いたin vitroの結果と一致した。本研究課題により、肝免疫恒常性維持にLXRは重要な役割を果たしていること、肝免疫細胞におけるLXRの標的はKupffer細胞/マクロファージとNKT細胞であることが明らかとなり、LXRは炎症のみならず腫瘍免疫やアレルギーなどにおいても重要な役割を担う可能性が示唆された。
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