本研究では、新たに若年発症型の家族性ALSの原因となるL95fsの変異をσ1受容体(Sig1R)に見出した。変異Sig1Rは細胞内で極めて不安定で、本来の結合相手であるイノシトール3リン酸受容体3型(IP3R3)とも結合できなかった。Sig1Rを欠損した変異SOD1-ALSモデルマウスを作製したところ、このマウスでは顕著な発症時期の早期化を認めた。さらに、変異SOD1の発現、Sig1Rの欠損のどちらにおいてもMAMは構造的に破綻し、Ca2+恒常性の破綻を介して神経細胞死を引き起こしていた。以上の結果から、MAMの破綻は孤発性も含めた幅広いALSに関して普遍的な現象であることが示唆された。
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