ヒトでは母親の加齢により卵由来の染色体数の異常が増加し、このことはダウン症児の出生や一部の流産の原因となることが知られている。本研究課題では染色体数の異常が起こるのは、加齢により卵における細胞分裂時の染色体分離に関わるタンパク質、コヒーシンが減少するためであると考え、実際のヒトの卵母細胞におけるコヒーシンの量に加齢による変化があるかどうか解析を試みた。その結果、20歳代と比較して40歳代では減数分裂特異的コヒーシンが有意に減少していた。コヒーシンの減少に伴い染色体間の接着が弱まり、染色体の分離異常が発生して、染色体数が異常な卵が増加すると考えられる。
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