研究課題
申請者は膵発癌のごく早期にみられる分化異常に注目し膵発癌過程早期の腫瘍促進的分子として転写因子EVI1を同定した。本研究はEVI1に注目して、膵発癌過程に重要なネットワークの解明を行い、結果、膵発癌過程に必須とされるKRAS経路とEVI1とのinteractoinを見出した。具体的には膵癌細胞および膵管上皮細胞を用いたin vitro実験からEVI1がKRAS-ERK経路を正に制御し膵発癌を促進すること、その際にmicroRNA-96の介在を伴うことを明らかにした。さらにヒト臨床検体224例の膵腫瘍に対して免疫組織学的検討を加え、膵癌前癌病変PanIN, IPMN, MCNでのEVI1高発現を見出した。本研究の結果は膵発癌促進サイクルの描出に重要であり、KRAS変異のみならずKRAS/KRAS下流経路の活性化レベルの維持が膵癌発癌・進展に必須であるという報告を支持し、low-grade PanINでのKRAS変異率が30%程度と低率であるにも関わらずPanINという形態変化が生ずる機序を理解する一助となった。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 1件)
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