研究課題
若手研究(B)
クロマチン再構成因子複合体の因子であり、そのDNA結合を受け持つAT-rich interacting domainを有するARID1Aは近似タンパク質ARID1Bと免疫交差性があり、ARID1Aのみの濾胞性リンパ腫での発現を検討するため、ARID1Bに反応しない特異単クローン性抗体を作成し、archival pathological tissue specimensを用いて検討を行った。その結果、古典的濾胞性リンパ腫 42例/ 80例 (52.5%で発現低下)で、また、十二指腸濾胞性リンパ腫症例では11例/16例68.8%に発現低下がみられた。数症例の古典的濾胞性リンパ腫でタンパク質解析が可能な症例ではImmunoblot法でも発現低下が確かめられ、さらに遺伝子解析でLOHおよび残存するアレイでのナンセンスコドン変異が見出された。他の悪性腫瘍(胃癌や子宮内膜癌、特に明細胞癌)ではARID1Aの発現低下は悪性度と相関していることより最初の作業仮説では、十二指腸濾胞性リンパ腫のほうが、古典的濾胞性リンパ腫より発現低下例が多いと思われたが、免疫組織染色の結果は逆であり、ARID1Aの発現が、どのように濾胞性リンパ腫の発生、進行に関わっているかを検討するために、培養細胞株で人為的にARID1Aの発現を操作し、ARID1Aの発現低下により影響を受ける遺伝子群を網羅的に解析した。その結果、ARID1A低下はras遺伝子関連経路を活性化することが明らかになり、現在詳細をさらに解析中である。
2: おおむね順調に進展している
初年度でARID1Aの濾胞性リンパ腫での発現低下、およびナンセンス変異、また網羅的遺伝子解析でras経路との関係を国内外に先駆けて明らかにできた。
特に十二指腸濾胞性リンパ腫で、ARID1Aの発現が低下していることを、その生物学的悪性度と関係して検討する予定である。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
Int J Exp P athol.
巻: 95 ページ: 24-28
doi: 10.1111/iep.12051.
Med Mol Morphol.
巻: 印刷中 ページ: 印刷中