今年度は、外科的に摘出されたヒト肺非小細胞癌標本を219例に増やし、これらにおけるS100A14の発現を検討した。その結果、219例中108例が陽性と判定され、陽性例は陰性例に比して全生存率、無再発生存率いずれも低いことが明らかになった。組織型別では、腺癌(157例)ではS100A14陽性例において全生存率、無再発生存率いずれも優位に低下したが、扁平上皮癌(49例)およびその他の組織型(12例)では有意差が得られなかった。さらに、cox回帰分析をもちいた多変量解析でも、S100A14は独立した予後不良因子であることが示された。以上より、S100A14は非小細胞肺癌、特に腺癌の有用な予後マーカーとなりうることが示された。 これまでの研究結果によりS100A14は肺癌の浸潤や転移能を増強し、患者の予後を不良にする悪性形質関連分子であることが明らかとなった。現在、論文執筆中である。
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