本研究は、S100A14の転移や浸潤を促進する分子メカニズムの解明と、ヒト肺癌組織での発現とその意義についての検討を目的として行った。 臨床病理学的検討では、外科的に摘出された非小細胞肺癌219例におけるS100A14の発現を検討した。その結果、219例中108例が陽性と判定され、陽性例は陰性例に比して優位に予後不良であることが明らかとなった。細胞株を用いた実験では、S100A14は細胞膜に局在しており、またそのノックダウンにより肺癌細胞株の浸潤、遊走が抑制された。 以上の結果から、S100A14は、細胞の浸潤・遊走を促進し、肺癌の予後を不良にする分子であることが明らかとなった。
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